10月4日、記者会見を行う岸田首相(Photo by Toru Hanai - Pool/Getty Images)

岸田政権で日本はアジア太平洋の勢力均衡に重要な役割=専門家

4日に発足した岸田新内閣の対中政策の見通しについて注目が集まっている。日本政治に精通する専門家は、自民党の「ハト派(リベラル派)」とされてきた岸田首相は、アジア太平洋地域のパワーバランスにおいて、日本が重要な役割を果たすことに取り組むとの見方を示した。

首相は4日の記者会見で、中国当局について「自由や民主主義、法の支配、人権と言った価値観に、いかがかと思うような対応も感じる」「言うべきことはしっかり言っていかなければならない」と述べた。

ドイツメディア「ドイチェベレ」中国語版は9日、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科のデイビッド・レーニー(David Leheny)教授のインタビュー記事を掲載した。

レーニー教授は首相の中国を巡る発言について、19日公示の衆議院選をにらみ、日本国民、特に自民党支持者に対して対中強硬姿勢のシグナルを送ったと分析した。教授はまた、岸田氏は中国当局に自らの立場を示しただけでなく、米国や東南アジア諸国、台湾などにも「日本はアジア太平洋地域におけるパワーバランスで重要な役割を果たす」というメッセージを送ったとの見解を示した。

レーニー教授は、第2次と第3次安倍内閣で外務大臣を務めた岸田首相は「今までの外相としての経験をもとに、『中国当局と仲良くするのは(日本の国益にとって)逆効果だ』という結論を出しているのだろう」と指摘。教授は、「岸田氏がハト派だというのは、周囲が同氏を安倍氏と比較して導き出した見方に過ぎない」と示した。

中国当局と台湾政府は9月、環太平洋経済連携協定(TPP)への加入をそれぞれ正式に申請した。同月下旬に行われた自民党総裁選に立候補した岸田氏は24日、党が主催した政策討論会に出席した際、台湾のTPP加盟を歓迎すると表明した。

日本は現在、TPPの議長国を務めている。レーニー教授は、「岸田政権は中国側の加盟を急がないだろう。それに、オーストラリアや他のTPP加盟国が中国当局のTPP加盟を承認しない可能性が高いからだ」と述べた。加盟承認にあたって、中国当局は貿易障壁や情報開示などにおいて不透明なところが多いと教授は指摘。中国当局の短期間でのTPP加盟は「非常に難しい」という。

同教授は、岸田政権は米国がTPPに復帰することを望んでいるとした。「これによって、同地域における中国の影響力の均衡を保つ」ため、「岸田内閣はまず、TPPを巡る米国側の関心と興味を引き出すことに努めるべきだ」と教授は提案した。

(翻訳編集・張哲)