中国大使、仏記者に暴言 国際NGOが反発「北朝鮮へ行けば?」

2021/10/29
更新: 2021/10/29

国際NGO・国境なき記者団(RSF、仏パリ拠点)は27日、中国の駐仏大使に対し、仏記者に対する恣意的な暴言をやめるよう呼びかける声明を出した。「言論の自由に不満を持つなら、北朝鮮への転勤願いを出せば良いのに」と反発した。

仏メディアはこの頃、中国による台湾への軍事的圧力を強める現状を分析した記事を複数回、掲載していた。

これに不満を持った中国の在仏大使館は、25日付のプレスリリースの中で、仏メディアが「中国の侵略を誇張宣伝している」と批判し、記者に「職業倫理を守るよう」要求した。

さらには、仏紙「ル・フィガロ(Le Figaro)」のベテラン記者、セバスチャン・ファレッティ(Sebastien Falletti)氏を名指して、「大量なウソを広め、現実を歪曲した」などと批判した。

国境なき記者団は27日の声明の中で、中国の盧沙野・駐仏大使を「メディアを侮辱することで有名になった常習犯」と称し、「外交官に報道の仕方を教える資格はない」と一蹴した。

同大使がフランスのメディア全体に対して「職業倫理の遵守」と「事実尊重」を要求することについて、国境なき記者団は「恥知らず」だと批判した。

同NGOのクリストフ・ドロワール(Christophe Deloire)事務局長は声明の中で、「もし(政府から)独立している仏メディアに不満をもつなら、北朝鮮のような専制国家への転勤願いを出せばいい。そうなれば、ホームシックにならずに済むだろう。北朝鮮も、政権のプロパガンダだけが発言権を持つ国だから」と痛烈に批判した。

盧大使は中国の戦狼外交の代表的人物と言える。報道の自由への干渉は今回が初めてではない。

同大使は今年3月、仏上院議員団の台湾訪問の中止を要求した。これに疑問を呈した仏国の中国研究者をツイッター上で「ごろつき」と批判。さらに同21日には大使館の公式サイトで、名指しは避けつつも「学者のコートをまとった狂犬」などと糾弾した。

その後、「仏学者を侮辱した」として、同大使は仏外務省に呼び出されて抗議された。

国境なき記者団は公式ウェブサイトの中で、記者に対する中国大使の挑発的な態度は共産党政権の政策の一環であり、目的は外国の情報伝播に影響を与えるためだと指摘した。

同NGOは昨年の報告書の中で、中国を含む20組織をネット上の情報の自由を侵害する「デジタル情報の捕食者」と批判した。

今年の年次報告書の中でも、中国政府を「報道の自由を最も破壊している国の一つ」と指摘している。

(翻訳編集・李凌)

関連特集: 欧州・ロシア