インド洋北東部で実施された2021年日米豪英共同訓練で編隊航行するオーストラリア海軍、海自、英国海軍、米国海軍の艦船(ハイドン・N・スミス(HAYDN N. SMITH)二等兵曹/米国海軍)

日米豪印訓練マラバール2021「自由で開かれたインド太平洋」に対する「確固たる誓約」を強調

10月中旬にインド洋北東部で日米印豪共同訓練「マラバール2021(Malabar 2021)」フェーズ2を実施したオーストラリア、インド、米国の海軍と日本海上自衛隊(JMSDF)が、ますます成長を遂げる提携関係の威力を見事に実証した。

 ベンガル湾における対潜戦訓練や他の混合訓練はすでに進行中の状態にあったが、「日米豪印戦略対話(4ヵ国戦略対話)」を結んでいることで通称「クアッド」呼ばれる同4ヵ国の首脳陣は年間海事演習の拡大や関与の強化に向けて取り組んできた。 

共同通信社が報じたところでは、内閣総理大臣補佐官を兼任する木原誠二内閣官房副長官(政務担当)は記者会見で、「こうした演習が『自由で開かれたインド太平洋』構想を共有する米印豪との連携強化に繋がることを期待している」と述べている。 

マラバールは1992年に米印2ヵ国間の演習として開始され、オーストラリアと日本は後に招待されて常在参加国となった。ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)紙が伝えたところでは、日米豪印戦略対話加盟4ヵ国は演習の拡大を意図していると、米国海軍作戦部長を務めるマイケル・ギルデイ(Michael Gilday)大将が語っている。 

ギルデイ大将はまた、「しかし、インド太平洋地域や世界各地で志を同じくする海軍や提携諸国が一丸となって訓練に励むことができる多くの演習が実施されていることを忘れないでほしい」とも述べている。

 今回25回目を数えるマラバールでは、米国海軍第1空母打撃群、豪印海軍と海自駆逐艦、フリゲート、海上哨戒機偵察機を交えて、ヘリコプターを用いた飛行甲板間移動、対水上訓練射撃、洋上補給訓練が実施された。同演習のフェーズ1は、8月下旬に西太平洋のグアム島周辺で実施された。 

米インド太平洋軍(USINDOPACOM)のニュースリリースで、オーストラリア海軍のフリゲート「バララット(HMAS Ballarat)」の艦長、アントニー・ピサニ(Antony Pisani)中佐は、「主要提携諸国の日米印との密接な協力体制により4ヵ国の水兵の専門的な関係が育成され、相互運用性が高まる」と表明している。 

マラバール2021は「軍の互換性を強化し、国際公共財(グローバル・コモンズ)で無比の海上安保を確立するという4ヵ国共有の願いを推進する手段」であると説明した米国海軍第1空母打撃群司令官のダン・マーティン(Dan Martin)少将は、「複雑な任務部隊の機動作戦を担う部隊統合により、インド太平洋の同盟・提携諸国と効果的に連携、困難な海洋環境にあっても敵を凌ぐ力があることを実証することができた」と述べている。 

中国が国際法や規範を無視して南シナ海の紛争海域を軍事化し、他国領海への侵入を続けていることで太平洋地域の民主主義諸国の間では海上安保に対する懸念がますます高まっている。 

マラバール2021が完了した翌日から海自、オーストラリア海軍、米国海軍は英国海軍と共にインド洋北東部で2021年日米豪英共同訓練(Maritime Partnership Exercise)を開始した。英国の最新鋭空母「クイーン・エリザベス(HMS Queen Elizabeth)」を含め、4ヵ国の航空機と艦船が防空戦、対潜戦、海上通信、阻止攻撃、飛行甲板間移動などの合同訓練を実施している。

米国海軍の航空母艦「カール・ヴィンソン(USS Carl Vinson)」艦長を務めるP・スコット・ミラー(P. Scott Miller)大佐は米国海軍のニュースリリースで、「多国間演習や二国間演習により、提携諸国に対する確固たる誓約および自由で開かれた包括的なインド太平洋の維持に対する集合的な願望を実証することができる」とし、「より緊密に協力を図って訓練することで、合同部隊の力が必要になった場合に迅速かつ容易に共同体制を整えることができるようになる」と話している。 

2021年10月に開催された米印対話でも、範囲と規模の面でこうした提携の強靭性が明瞭に示された。訪印したギルデイ大将は、ムンバイに所在する西方海軍司令部(WNC)でインド海軍のR・ハリ・クマール(R Hari Kumar)中将と会談し、インド洋地域における海事課題について協議している。

インド国防省は声明を通して、「両国の包括的なグローバル戦略的パートナーシップを確立して強化することを目的とした米印間の継続的かつ定期的な対話の流れにおいて同会談は重要な機会となった」と発表している。

米印豪の海軍と海自がベンガル湾でマラバール2021を実施している間、そこから約1万キロ西方に離れたアラスカのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地では600人超のインド軍と米軍の兵士が2週間にわたる耐寒訓練を開始した。

今回で17回目を数える年次「ユーダ・アビヤース(Yudh Abhyas)」演習(戦争演習の意)は兵器操作と戦術的訓練に焦点を当てている。 ザ・タイムズ・オブ・インディア紙が報じたところでは、インド軍は声明を通して、「同演習は両国間の軍事協力関係がさらに一歩前進したことを実証するものである」とし、「同演習は米印軍隊間の理解、協力、相互運用性を強化することを目的としている」と発表している。