映像配信大手ネットフリックス(Netflix)オリジナルドラマ「イカゲーム」のワンシーン(Netflix)

ドラマ「イカゲーム」のなかに...中国「臓器狩り」描写=英報道

映像配信大手ネットフリックス(Netflix)オリジナルドラマ「イカゲーム」の人気とともに、中国国内で行われてきた「臓器狩り」が再び世界的な注目を集めている。ドラマで設定した臓器収奪や密売シーンが、中国の人権侵害を表しているとの指摘だ。

イカゲーム」は9月に全世界で公開されたサバイバル・ドラマ。数百人あまりのプレイヤーたちが生き残りと賞金獲得のために激しく競う。社会格差や不条理を表しているとして注目を集めている。5話のなかで、ゲームに参加する医師が臓器売買のための臓器の摘出を行う見返りに、ゲーム運営スタッフから、次のゲーム内容を明かしてクリアを助けるといった共謀シーンがある。

ドラマでは、この不徳な医療ビジネスは支配人の知ることとなり、関係者は処分されてしまう。血まみれの手術シーンや、ヒトの臓器を商品扱いする医師の様子から、視聴者から中国の臓器狩りを模したのではないかとの声が相次いだ。

「ドラマで描かれた臓器狩り、実際に中国で起きている」

臓器取引をめぐる医師とスタッフとのやりとりに、次のようなセリフがある。「その時、お前たちが死んでもいない人間を手術台の上に載せたじゃないか。それが目覚めてしまって…全てがめちゃくちゃになったんだぞ!」

生きている人の身体を切開して内臓を取り出すという非人道的行為は、以前から「臓器狩り」告発者のひとりであるエンバー・トフティ氏(中国新疆ウイグル自治区にある病院の元外科医)が国際社会に訴えてきたことだ。「私が切開したとき(患者の体は)身震いし、切り口から血が吹き出した。心臓がまだ脈打っているということだ」。トフティ氏は2009年12月英議会中国人権問題セミナーで語った。

2013年1月、香港で、中国「臓器狩り」問題の周知のために街頭デモンストレーションを行う人々 (ANTONY DICKSONAFP via Getty Images)

「臓器狩りからの着想ではないか」。最近、英国ではタブロイド紙各社はイカゲームのヒットにあわせ、連日この点を報道しており、この中国医療犯罪を改めて世に喚起する形となった。英紙デイリー・メールは10月17日、シーンにある臓器収奪は、中国で実際に起きていると報じた。「ドラマは現代社会に対する鋭い批判で非現実的な描写が多い。しかし、人の臓器を取り出して販売する部分はとてもリアルだ」と指摘した。

英メディアは、特にドラマで描かれた「組織的な臓器密売」に対する人権団体の調査に注目した。英紙ミラーは18日の記事で、中国共産党は毎年約10万人の政治犯から心臓、腎臓、肝臓、角膜などを摘出しており「中国政府によって大規模な(臓器密売)組織が運営されている」との人権団体の調査結果を引用して報じた。

イカゲーム」が公開される約3か月前、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)特別人権報告者ら12人から、中国臓器収奪に関する声明が出された。中国共産党による少数民族・宗教団体を対象とした臓器摘出・密売システムがあるとの報告を受けて「強い憂慮」を示した。また、独立した調査を受け入れるよう中国政府に求めた。

声明によれば、拘束された少数民族らは、詳しい説明と同意なしで強制的に血液検査や、超音波やX線による臓器検査を受けている可能性があるという。また、臓器収奪の対象となる人は政治、宗教的信念を捨てない受刑者で、法輪功修煉者、ウイグル族、チベット人、イスラム・キリスト教徒などによって構成されているとした。

また、世界各国から中国での移植ツアーをあっせんするブローカーの存在も明らかになっている。2016年には、中国の複数の医療機関と手を組み、韓国人患者を中国へ送り込んでいた臓器移植の闇ブローカーの主犯格が逮捕された。日本にも以前、渡航移植手術をあっせんして中国当局に逮捕されたブローカーがいる。この組織は、中国では「健康な臓器が早く手に入る」と謳っていた。

中国の臓器移植問題を追跡してきた国際団体「中国での臓器移植濫用停止 ETAC国際ネットワーク」のスージー・ヒューズ事務総長は、英デイリー・メール・オーストラリアのインタビューで、中国当局発表の1万件よりもはるかに多い移植手術が行われていると、統計報告を引用して語った。

この統計は、中国臓器移植問題について10数年にわたり警告を発してきた、デービッド・マタス弁護士、デービッド・キルガー氏(カナダ元閣僚)らによる「Bloody Harvest/ The Slaughter:更新版」(2016年6月)にある。中国移植病院の収益、病床利用率の統計、手術チームの数を分析、中国各地域の保健当局、病院の資料を元に推計している。

(つづく)