コンテナ市場独占する中国 グローバルサプライチェーンへの脅威=専門家

2022/04/20
更新: 2022/04/20
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米連邦海事委員会(FMC)が最近発表した報告書によると、中国による世界のコンテナ製造の支配は、世界中のサプライチェーンと経済に脅威をもたらしているという。

FMCのカール・ベンツェル・コミッショナーは3月30日、1年にわたる調査を経て、中国によるコンテナおよびシャーシ(編集者注:コンテナを載せる車両)製造の支配に関する評価を発表した。

報告書は、中国の3大手メーカーが世界のシャーシ供給の86%以上を支配していると指摘した。この3社は、米国内の鉄道やトラックの複合輸送コンテナを含め、世界の輸送に使用されている4420万個のコンテナの95%以上を製造している。

ベンツェル氏によると、世界のコンテナとシャーシの生産を実質的に支配している中国共産党政権は、市場価格を操作して世界のサプライチェーンの混乱に拍車をかけている可能性があるという。

「海上コンテナの需要が増加した際、中国のインターモーダル(編集者注:陸海空および鉄道輸送等を組み合わせた輸送形態、複合一貫輸送とも)にかかる機器メーカーの増産ペースは著しく遅くなった。価格を操作するための意図的な戦略の一部であるとの疑問が生じた」と報告書は指摘した。

中国製コンテナの価格は、2019年の1600ドルから2021年には6500ドルに増加した。これは、パンデミック前の価格に比べて400%近くの上昇だ。いっぽう、コンテナのリース料金も2020年11月までの半年間で約50%上昇した。

報告書は、海運用コンテナ生産における中国の事実上の世界独占に「深く懸念している」と記した。

コンテナ生産を独占する中国

コンテナは、グローバル化の重要な促進要素の一つだ。コンテナが普及する以前、海上運賃は高額だった。港ターミナルでの貨物の積み下ろし時間は、船の航行時間よりも長いこともあった。

現在では、世界中の工業製品の95%がコンテナによる複合一貫輸送で出荷されている。

1960年代、米国は貨物コンテナの最大の生産国だった。しかし、経済的・物流的要因の変化により、生産拠点は欧州や日本、韓国などに移った。

1990年代、世界経済への統合に伴い、中国の製造能力と輸出需要は急速に拡大した。中国のコンテナ市場のシェアは、1990年の7.2%から1999年には69%に上昇。10年間で10倍近く成長を見せた。

深センに拠点を置く大洋物流集団が2021年に発表した記事によると、中国がコンテナ製造業を独占した主な理由は3つあるという。

第一の理由として、中国の原材料が安価であることが挙げられている。中国は世界最大の鉄鋼生産国で、世界の生産量の55%を占めている。鉄鋼をはじめとする関連産業のコスト優位性と強力な生産能力が、コンテナ製造業の独占に大きく寄与している。いっぽう近年、老朽化した鉄鋼工場の廃止などにより、中国のコスト優位性はベトナムやマレーシアに追い越されたという。

第二に、中国の輸出需要は依然として強い。中国は2009年以来、最大の輸出国となり、生産したコンテナを大量に使用している。

第三に、新型コロナウイル(中共ウイルス)のパンデミックが、中国のコンテナ産業に好影響をもたらした。

2020年以降、パンデミックにより世界中の商品生産が滞り、多くの工場が操業停止を余儀された。しかし、中国の輸出はその流れに反して伸びている。大量のコンテナ備蓄と生産能力を生かし、世界中に商品や資材を供給し続けている。

いっぽう、海外からの中国への輸出は少ないため、コンテナの大半は返送されることなく外国に留まっている。そのため運送会社や貨物輸送会社は、目的地への配送遅延を避けるために、中国で新しいコンテナを購入し続けるしかない。

しかし、この記事では、もうひとつの重要な理由に触れていない。つまり中国のコンテナメーカーは中国政府の財政支援を受けていることである。

ベンツェル氏は報告書の中で、世界最大のコンテナ製造会社で世界シェアの42%を占める中国国際海運集装箱集団(CIMC)は、経費の最大28%の補助金を中国政府から受けていると明らかにした。

米商務省はまた、中国政府は国有資産監督管理委員会(SASAC)を通じてCIMCを間接的に所有していることを明らかにした。

グローバルサプライチェーンの再構築

台湾のマクロ経済学者である吳嘉隆氏は、脱中国依存を目指すグローバルサプライチェーンの再構築が進んでいると、大紀元に語った。

「サプライチェーンの再構築は2018年の米中貿易戦争から始まっている。米国は独裁国家である中国を世界経済に参加させる問題の重大性を認識し始めた。中国は民主主義国家への転換に失敗しただけでなく、国際社会が定めたルールを破り、政治介入による不公正な競争や貿易を開始したのだ。ロシアとウクライナの戦争で、中国共産党はロシア側に立った。つまり、米国の中国とのデカップリング(分断)は避けられない」

呉氏は、ホワイトハウスが最近発表した「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」は、米国が同盟国やパートナーと連携し、中国とより効果的に競争し、サプライチェーンを再構築するための重要な優先事項を概説していると付け加えた。

武田綾香