2024年度(2024年4月~2025年3月)、再生可能エネルギーを中心とした発電事業者の倒産や廃業が相次ぎ、その件数が過去最多となった。帝国データバンクの調査によれば、太陽光発電や木質バイオマス発電など再エネ発電事業者の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は8件に上り、前年度の2倍となった。さらに、休廃業や解散を含めると44件にのぼり、合計52件が市場から姿を消したことになる。
この5年間(2020年度~2024年度)で倒産した発電事業者19件のうち、最も多かったのは太陽光発電の7件。2024年度には木質バイオマス発電の倒産も4件発生し、次いで火力発電(天然ガス等)が3件、風力発電が2件と続いた。
倒産や廃業が増加した主な要因は、発電設備への投資に対して維持管理コストや燃料価格が当初の想定を上回り、採算性が大きく低下したことにある。特に、再エネで発電した電気の買取価格を保証する「固定価格買取制度(FIT)」の買取価格が段階的に引き下げられたことで、利益を見込むことが難しくなり、事業継続が困難となるケースが目立った。
例えば、全国に8万ヘクタールの用地を確保していた太陽光発電事業者「いろは商会」は、買取価格の低下による採算悪化が続き、2024年7月に破産した。また、木質バイオマス発電では、燃料となる木質チップの価格高騰や設備の不具合、事故などが重なり、維持管理コストが増加。2025年1月には「新宮フォレストエナジー」が破産するなど、運営を断念する企業が相次いでいる。
背景には、FIT制度の買取期間終了や、制度見直しによる収益減、設備投資コストの増加といった構造的な課題もある。今後も再エネ発電事業者の淘汰が進む可能性が高いとみられている。
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