警察庁の楠芳伸長官は5月22日の会見で、外国で取得した運転免許証を日本の免許証に切り替える「外免切替」制度の見直しを進めていることを明らかにした。背景には、近年この制度を利用した免許取得者が増加し、交通事故の発生や制度の不備が国会などで指摘されていることがある。NHKなど複数のメディアが報じた。
現行の「外免切替」制度では、外国で有効な運転免許証を取得していれば、知識や技能の一部試験が免除され、日本の運転免許証への切り替ができる。警察庁の統計によると、2021年には約6万人がこの制度を利用し、過去10年間で約2倍に増加した。
一方、例えば18日に三重県で発生した高速道路での逆走事故など、外免切替を利用したドライバーによる事故が報告されており、死亡事故も発生している。
NHKによると楠長官は会見で、「外免切替制度について見直しが必要ではないかという指摘があるほか、外免切替制度で免許を取得した外国人による交通事故の発生も見られることから、制度のあり方について検討を行っている」と述べ、申請時の住所確認を厳格化し、原則として住民票の写しの提出を求める方針を示した。
また、観光など短期滞在者による外免切替は認めないこととし、日本の交通ルールを十分に理解しているかを確認するため、知識確認や技能確認の方法も強化する考えを示した。
一方で、住民票がなくてもホテルなどの一時滞在先を住所として申請できる点や、筆記試験が10問中7問正解で合格する点など、手続きや試験が簡易であるとの指摘があり、一部で批判が上がっている。
また国外に転出中の日本人や外交官などについては、住民票以外の方法で住所確認を行う例外措置を設ける方針だ。制度改正案については、今後速やかに取りまとめ、パブリックコメント(意見公募)などの必要な手続きを進めるとした。
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