令和7年12月23日、高市早苗総理は都内で開催された「年末エコノミスト懇親会」に出席し、自身の経済政策の核となる方針と今後の展望を語った。同年10月21日に発足したばかりの高市内閣にとって、今回の演説は、日本経済を再び世界の高みへと押し上げるための「決断と前進」を内外に示す重要な場となった。
緊縮から「責任ある積極財政」への転換
高市総理は、就任以来、国民が直面する物価高への対応を最優先課題として取り組んできた。演説では、自民党・日本維新の会に加え、や国民民主党や公明党の賛同を得て補正予算を成立させた実績を強調した。

その背景にあるのは、「行き過ぎた緊縮財政による国力の衰退を食い止め、責任ある積極財政によって国力を強化する」という強い危機感である。総理は「今始めなきゃ間に合わない」と述べ、経済成長を優先させる「経済あっての財政」という方針を鮮明に打ち出した。
投資促進と「新技術立国」の実現
演説の中で、具体的な施策として以下の2点が示された。
- 大胆な投資促進税制の創設:欧米諸国の国内投資促進策や米国の関税措置による不確実性に対応するため、日本も競争力のある事業環境を整備する必要があるとしている。新たに創設される税制は、全業種を対象に、建物を含む一定規模以上の高付加価値設備投資に対して、「即時償却」または「7パーセントの税額控除」を認めるものである。この制度により、年間約4兆円の投資を見込んでいる。
- 「新技術立国」に向けた戦略的支援:日本が持つ優れた技術を確実に社会実装し、勝ち筋となる産業を育てるため、量子、宇宙、フュージョンエネルギー(核融合)といった重要領域への研究開発税制を強化する。これにより、供給能力を抜本的に強化し、資本ストックの質を向上させる狙いがある。
今後の予測と経済の好循環
高市総理は、今後の日本経済の姿として、以下のプロセスによる「好循環」の実現を予見している。
- 投資と成長: 3年間の「集中的な投資決定期間」を設け、企業の国内設備投資を強力に後押しする。
- 賃上げの実現: 政府が賃上げしやすい環境を整備し、物価上昇に負けないベースアップを経済界に促す(11月25日には政労使会議を開催済み)。
- 所得と消費の拡大: 企業収益の改善を賃金上昇につなげ、個人所得と消費を増やす。
- 税収の自然増: 経済成長の結果として、「将来的に税率を上げずとも税収が増える」姿を目指す。
高市総理は、これらの取り組みを「次世代への責任」と位置づけ、日本列島を強く豊かにするために決して諦めずに働く姿勢を示した。令和8年度税制改正大綱に基づき、今後はこれらの「危機管理投資」と「成長投資」が具体的に動き出すフェーズへと移行する。
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