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米国下院が可決した「法輪功保護法案」全文 中国共産党の生体臓器収奪と迫害に対抗する歴史的措置

2025/06/02
更新: 2025/06/03

2025年5月5日、米国下院は全会一致で「法輪功保護法案(Falun Gong Protection Act)」を可決した。本法案は、中国共産党政権下で続く法輪功修煉者らに対する生体臓器収奪や迫害に対し、アメリカとして初めて法的制裁を科す包括的な枠組みを定めている。法案は、生体臓器収奪に関与した個人・団体への資産凍結や米国入国禁止などの制裁措置を明記し、米国政府が中国の臓器移植分野との協力を一切回避する方針を示している。また、国務長官らに対し、中国の臓器移植政策や法輪功迫害の実態に関する詳細な報告書の作成を義務付け、国際社会と連携した制裁・啓発活動の強化も盛り込まれている。本法案は、長年にわたり国際社会から非難されてきた中国の人権侵害、とりわけ法輪功修煉者への残虐行為に対し、米国議会が初めて本格的な法的対応に踏み切った歴史的な一歩である。

『法輪功保護法案』全文

第119回米国連邦議会
第1会期 

H. R. 1540

 

法案

中華人民共和国内での強制的な臓器摘出に対して制裁を科すこと、ならびにその他の目的を達成するための法律。

アメリカ合衆国議会(上院及び下院)により、以下の通り制定される。

 

第1条 略称

本法は、『法輪功保護法』(“Falun Gong Protection Act”)と称する。

 

第2条 政策声明

アメリカ合衆国の政策は、以下を目的とする:

(1)中国共産党が政権を維持している限り、中華人民共和国との臓器移植分野におけるいかなる協力も回避すること。

(2)中国共産党による国家主導の臓器収奪活動を終結させるため、関連する制裁権限の行使を含む適切な措置を講じること。

(3)中国による法輪功への迫害を国際社会において明らかにし、同盟国・パートナー国および多国間機関と連携し、標的を絞った制裁および査証(ビザ)制限について緊密に協力すること。

 

第3条 中華人民共和国における臓器収奪に対する制裁

(a) 制裁の発動:大統領は、本法 第(b)項に基づき提出された最新のリストに含まれる各外国人に対し、第(c)項に記載された制裁を発動する。

(b)対象者リスト:

(1) 一般規定
本法の制定日から180日以内に、中華人民共和国内において本人の意思に反する臓器摘出に直接的かつ故意に関与または関与を助長したと大統領が判断した外国人のリストを、大統領は関係議会委員会に提出する。

(2) リストの更新:大統領は、第(1)項に基づくリストの更新を下記の時期に議会の適切な委員会に提出する。

(A) 新しい情報が得られたとき。
(B) 本法の制定日から1年以内。
(C) 以後、本法第(h)項に基づく失効日まで毎年。

(3) 文書形式:第(1)項に基づくリストは非機密の形式で提出されなければならないが、機密付録を含めることは可能とする。

(c) 規定される制裁 ―本項で規定される制裁は以下の通りである。

(1) 資産の凍結: 大統領は、「国際緊急経済権限法」(合衆国法典 第50編 第1701条以降)により大統領に付与されたすべての権限を行使し、必要な範囲で、対象者の資産および資産に対する権益について、米国内にあるもの、米国内に移動してくるもの、または米国人の所有もしくは支配下にあるか、そこに移るものに関し、すべての取引を凍結・禁止しなければならない(ただし、同法 [合衆国法典 第50編 第1701条]の第202条は適用されない)。

(2) 特定個人の入国禁止

(A) 査証、入国、仮釈放の資格の喪失
第(b)項に基づき提出された直近のリストに含まれる外国人には、以下の通りの不許可が適用される。

(i) アメリカ合衆国への入国が認められない(入国不許可者とする)。

(ii) アメリカ合衆国への入国に必要なビザまたはその他の文書を受け取る資格を有しない。

(iii) その他、アメリカ合衆国への入国、仮釈放の対象とならず、また「移民・国籍法(合衆国法典 第8編 第1101条以降)」に基づくいかなる恩典も受ける資格を有しない。

(B) 現在の保有するビザの無効化
前項(A)に該当する外国人は、以下の措置の対象ともなる。

(i) そのビザまたはその他の入国書類の発行時期にかかわらず、すべてが失効する。

(ii)上記 (i)による失効は即時に発効し、当該外国人が所持しているその他の有効なビザまたは入国書類も自動的にすべて無効となる。

(3)例外規定: 第(2)項に基づく制裁は、当該外国人のアメリカ合衆国への入国または仮釈放が、1947年6月26日にレイクサクセスで署名され、1947年11月21日に発効した「国際連合本部協定」(国際連合とアメリカ合衆国との間の協定)またはその他の適用可能な国際義務を履行するために必要であると判断される場合には、適用されない。

(d) 罰則:国際緊急経済権限法(合衆国法典 第50編 第1705条)第206条の(b)項および(c)項に規定されている罰則は、 本条第(a)項を実施するために制定された規則に違反し、違反を試み、違反を共謀し、または違反を引き起こした者に対しても、国際緊急経済権限法第206条(a)項に規定される不法行為を行った者と同様に適用される。

(e)国家安全保障に準拠するための例外:以下の活動は、本条に基づく制裁の適用対象から除外されるものとする。

(1) 1947年国家安全保障法 第V編(合衆国法典 第50編 第3091条 以降)に基づく報告義務の対象となる活動。

(2) アメリカ合衆国によって認可された諜報または法執行の活動。

(f)人道支援の提供に関する例外:本条に基づく制裁は、以下の取引または当該取引の促進には適用されないものとする。

(1)農産物、食料品または医薬品の販売に関する取引
 

(2)生命維持に不可欠な人道支援の提供
 

(3)人道支援または人道目的に関連する金融取引
 

(4)人道支援または人道目的に関連する活動の実施に必要な物品またはサービスの輸送
 

(g)免除権限

(1)免除 — 大統領は、個別の事案ごとに、本条に基づく制裁の適用を免除することができる。ただし、当該免除が米国の重要な国家安全保障上の利益に資すると大統領が判断した場合に限る。
(2)報告 — 大統領は、第(b)項に基づくリストを提出した日から120日以内に、またその後本法第(h)項に基づく終了日まで120日ごとに、大統領が第(1)項の免除権限を当該報告期間中に行使した範囲について、適切な議会委員会に報告書を提出しなければならない。

(h)失効条項
本条に基づく制裁を科す権限は、本法の制定日から5年を経過した日に失効するものとする。

 

第4条 報告書

(a) 一般規定:国務長官は、保健福祉長官および国立衛生研究所長と協議のうえ、本法の制定日から1年以内に、中華人民共和国における臓器移植に関する政策および慣行に関する報告書を作成し、適切な議会委員会に提出しなければならない。

(b) 報告書に含める事項:前項の報告書には、以下の事項を含むものとする。

(1) 良心の囚人(法輪功を含む)及びその他の囚人に関する取り扱いを含む、中華人民共和国における臓器移植に関する法的(de jure)および事実上(de facto)の政策の概要。

(2)      (A) 中華人民共和国における既知または推定される年間の臓器移植件数。

          (B) 中華人民共和国における既知または推定される自発的臓器提供者の数。

(C) 中華人民共和国における移植用臓器の供給源の評価。

(D) 中華人民共和国の医療制度において臓器の調達に要する日数の評価、および中華人民共和国における既知または推定される臓器提供者数に基づいて、そのような時間設定が実現可能であるかどうかの評価。

(3) 過去10年間において、アメリカ合衆国の研究助成金のうち、中華人民共和国での臓器移植研究または中華人民共和国とアメリカ合衆国の機関の共同研究を支援したものの一覧。

(4) 中華人民共和国における法輪功修煉者に対する迫害が、「エリ・ヴィーゼル大量虐殺及び残虐行為防止法(2018年)」(2018年公共法第115–441号;22 U.S.C. 2656 注)第6条で定義される「残虐行為(atrocity)」に該当するか否かについての判断。

(c)形式: 第(a)項に基づき提出される報告書は、非機密の形式で作成されなければならない。ただし、機密別添を含めることはできるものとする。

 

第5条 物品の輸入に関する例外

(a)一般規定: 本法に基づき認められる制裁を科す権限および義務には、物品の輸入に対して制裁を科す権限または義務は含まれないものとする。

(b)「物品」の定義
本条において「物品」とは、あらゆる製品、天然または人工の物質、材料、供給品または製造品を意味し、検査および試験機器を含むが、技術データを除くものとする。

 

第6条 適切な議会委員会の定義

本法において、「適切な議会委員会」とは、以下の委員会をいう。

(1) 米国下院の外交委員会

(2) 米国上院の外交委員会

2025年5月5日、米国下院にて可決

記:ここにその旨を証する。  

             

英語原文:https://www.congress.gov/bill/119th-congress/house-bill/1540/text/rfs
(2025年5月5日に米国下院での全会一致の可決を受けて、5月6日に米国上院で受領。二度読み上げのうえ、外交委員会に付託された法案)

▶EPOCH TIMES JAPAN編集長 ▶番組「日本の思想リーダーズ」ホスト ▶1969年東京生まれ ▶青山学院大学法学部卒 ▶総合商社日商岩井(現双日)にて情報産業等に約10年間従事。独立後紆余曲折を経て3年半ベトナムに渡る。帰国後1年間の無職期間中に日本各地を巡る。その後2015年からメディア業界へ。