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「賃上げは実現される?」神谷議員が骨太の方針に質疑 賃上げ政策と経済成長の課題を指摘

2025/06/11
更新: 2025/06/11

6月10日、参議院財政金融委員会において、参政党の神谷議員が政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に関する質疑を行った。

神谷宗幣参議院議員は、政府が6月にまとめる予定の骨太の方針の原案について言及し、野党が求める現行の税政策による手取り収入の確保を否定しつつ、賃上げを起点とした成長型経済の実現を目指すとされている点を指摘した。現状では現行税制の維持や大幅な国債発行が困難であり、金利上昇や電気代・ガソリン代の高止まりが続く中で、物価上昇を上回る企業の賃上げがどのように実現されるのか、その原資について大臣の見解を求めた。

これに対し、加藤勝信財務大臣は、骨太の方針2025の閣議決定に向けて調整中であることを説明。原案では物価上昇を上回る賃上げの普及・定着を目指し、賃金所得の継続的増加を基盤とした成長型経済の実現を掲げていると述べた。政府は企業の生産性向上や付加価値の増加を重視し、価格転嫁の円滑化、省略化・デジタル化の推進、中堅・中小企業の経営基盤強化や成長支援に取り組んでいるという。

さらに、賃金向上推進五か年計画のもと、地方の中小・小規模事業者への支援策も充実させ、財務省としてもあらゆる施策を総動員して賃上げを力強く推進していく考えを示した。また、電気代やガソリン代に対しては既に措置を講じているか検討中であると述べた。

神谷議員はこれに対し、生産性向上の観点からインボイス制度が逆に生産性を低下させているとの指摘を行い、制度の見直しを求めた。インボイス制度は、2023年(令和5年)10月1日から日本で導入された。この制度により、消費税の仕入税額控除を受けるためには「適格請求書(インボイス)」の発行・保存が必要となった。

神谷議員はさらに、過度な自由競争や外国資本の過剰受け入れ、株主資本主義の弊害が賃上げを困難にしていると指摘。賃上げの即時対応が可能なのは内部留保のある大企業に限られ、中小企業の無理な賃上げは倒産増加や地方経済の衰退を招く恐れがあると懸念を示した。

賃上げは経済回復と需要拡大を通じて市場メカニズムで進むべきであり、そのためには日銀との政策連携で金利上昇を抑制し、国債引き受けを継続するなどの柔軟な政策対応が必要だと強調。計画策定にあたってはこうした視点を十分に反映するよう要望した。

今回の質疑は、賃上げを軸にした成長戦略の実効性と、その財源や政策手段をめぐる議論の重要性を浮き彫りにした。政府は現実的かつ持続可能な経済政策の策定が求められている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。