【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

韓国裁判所 尹錫悅前大統領の拘束令状申請を棄却 28日に出頭要求

2025/06/26
更新: 2025/06/26

尹錫悅(ユン・ソクヨル)前大統領の戒厳令を調査する特別検察チームは、韓国裁判所が尹氏に対する拘束令状の申請を棄却したと発表した。同チームは同時に、尹氏に対し、6月28日午前に出頭し調査に応じるよう求めた。

特別検察チームは6月24日、尹前大統領に対し特殊公務執行妨害罪、職権乱用罪、職権乱用教唆罪の疑いで、ソウル中央地方法院に拘束令状を請求した。この請求は、尹前氏が警察の出頭要請を3回拒否し、特別検察チームの捜査が違憲であると主張したことに関連している。裁判所は25日、この申請を棄却した。

尹前大統領の弁護団は同日、特別検察チームが尹前大統領を一度も召喚しておらず、基本的な手続きを飛ばして直接裁判所に逮捕令状を請求したのは被疑者の弁明権と人権を著しく侵害するものであると批判した。裁判所はこの主張を認め、拘束令状を棄却した。

特別検察チーム(特検)は同日、裁判所が「被疑者が特検の出頭要請に応じる意向を示していた」との理由で逮捕令状を棄却したと発表した。チームは直ちに尹前大統領と弁護団に対し、28日午前9時に出頭するよう通知した。今後この要請に応じない場合、再び逮捕状を請求する構えである。

韓国検察は1月26日、尹前大統領が2024年12月3日に戒厳令を一時的に発動し、反乱を主導したとして起訴していた。同年4月には憲法裁判所が尹前大統領に対する弾劾を認め、大統領職を罷免した。

6月、新大統領として李在明(イ・ジェミョン)氏が選出され、特別検察官として趙垠奭(チョ・ウンソク)氏を任命し、本件の捜査を引き継がせた。

検察は200人以上の検察官と捜査員からなるチームを編成し、尹前大統領に対する捜査を継続している。

報道によれば、尹前大統領は戒厳令の発令をめぐり内乱罪での刑事訴追を受けており、2025年1月には当局の拘束に抵抗して逮捕された。しかし技術的な理由により、52日間の拘留後に釈放されている。

6月23日、尹前大統領はソウル中央地方法院で内乱事件の8回目の公判に出席。これは内乱特検法が可決され、特別検察チームが本件を引き継ぎ、検察側として初出廷した公判となった。

事件の経緯

尹錫悅(ユン・ソクヨル、1960年12月18日生まれ)前大統領は、ソウル大学法学部を卒業後、2022年3月10日に韓国第20代大統領に当選し、同年5月10日から大統領職を務めた。2023年9月には米国から「特別国際勇気賞」を受賞。

2024年12月3日夜、尹前大統領は突如緊急戒厳を宣言し、軍と警察を動員して国会を包囲。しかし、十分な数の議員が国会に入場し、全会一致で戒厳令を否決した。翌4日未明、尹内閣は戒厳令を解除した。

12月7日午後、国会での尹氏に対する初の弾劾動議は否決されたが、12月12日、韓国国会は前大統領に対する内乱罪の疑いを調査するための「内乱特別検察法(内乱特検法)」を可決した。

12月14日、野党主導の2度目の弾劾が可決され、尹前大統領の職務が直ちに停止された。12月31日、裁判所は前大統領に対する逮捕令状を承認。

2025年1月19日、尹前大統領は韓国憲政史上初めて、現職の大統領として正式に拘置所に収監された人物となった。1月26日、検察は前大統領を正式に起訴。

2月20日、憲法裁判所は尹前大統領の弾劾裁判の最終弁論を実施。2月25日の最終公判で、尹前大統領は戒厳令発令の理由を説明。「過去のような武力による民衆抑圧の戒厳ではなく、外部勢力の侵入が韓国民主主義を脅かしている危機を国民に知らせるための戒厳だった」と主張した。

4月4日、憲法裁判所は尹前大統領の弾劾を最終的に認め、大統領職を罷免。

韓国大統領は内乱罪など一部の刑事訴追に対して免責特権を持たない。内乱罪は終身刑または死刑に処される可能性がある重罪である。

6月24日、特別検察チームは尹氏の拘束令状を申請したが、6月25日に裁判所によって棄却された。

李芳