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中国共産党とイランの核施設協力の実態 戦略・経済・軍事の全貌

2025/07/01
更新: 2025/07/02

中国共産党とイランは核施設建設や技術支援、25年協力協定など多面的に連携を強化。最新の軍事衝突やエネルギー戦略、両国の思惑を詳しく解説する。

2025年6月13日から24日にかけて、イスラエルおよびアメリカはイランの核施設に対し、外科手術的な精密攻撃を連続して実行し、国際社会に衝撃を与えた。

この一連の攻撃に対して、中国共産党(中共)は異様なまでに敏感な反応を見せた。

中共国防大学教授であり、CCTVの特約軍事評論員でもある李莉は、中共軍48人の対外宣伝専門家の一人に数えられる人物である。彼女はかつて「アメリカがイランを攻撃すれば、イランは30分でイスラエルを滅ぼせる」と述べた。この発言が最近ネット上で再び注目を集めている。

李莉の発言は根拠のないものではなく、彼女が中共によるイランへの核開発支援の実態を把握していた可能性を示唆している。イスラエルは国土も人口も限られた国家であり、イランが本格的に核兵器を保有すれば、一撃で壊滅的打撃を与える能力を持つと考えられる。

このような脅威が、イスラエルにイラン核施設への先制攻撃を決断させた重要な要因となった。

6月22日、中共外交部の報道官は、アメリカによるイラン攻撃に対して「強く非難する」との姿勢を表明した。

さらに6月24日には、中共の国際原子力機関(IAEA)常駐代表である李松が、「アメリカによるイラン核施設攻撃は極めて悪質かつ前例のない行動であり、中国側は断固として非難する」と発言した。

なぜ中共は、イスラエルおよびアメリカによるイラン核施設攻撃に対して、これほどまでに過剰とも思える反応を見せたのか。中共とイランの核施設の間には、いかなる特別な関係が存在するのか。

複数の海外報道によれば、1980年代の時点で中共はすでにイランの核施設建設に協力しており、他の4基の核施設向けの原料も提供していた。イスファハン近郊のウラン濃縮施設の建設や、稼働停止中だったブーシェフル原子力発電所の再建にも協力し、1990年には両国間で秘密裏に核協定を締結して核研究支援を進めてきた。

中共系ネットメディアも、「今回空爆されたイスファハン核基地は中国人技術者によって建設され、ウラン濃縮技術者も中国側が育成し、ウラン鉱山の採掘設備も中国が提供した」と明言している。

中共は世界でも最も厳格なネット検閲体制を敷いている国家である。その中で、このような中国とイランの核連携に関する情報が検閲されることなく発信されている事実は、中共自身がこれを黙認していることを物語っている。

では、両者の関係は具体的にどのような内容を含むのか。国内外の公開情報を総合すると、少なくとも次の5つの側面が挙げられる。

第一:1992年に中共とイランが核協力協定を締結

1992年9月10日、中共とイランは北京で15年間に及ぶ核協力協定に署名した。

この協定に基づき、両国は以下の核分野における協力を推進する方針を明確にした:(一)原子力の基礎・応用研究と開発、(二)原子力発電所および研究用炉の設計・建設・運用、(三)ウラン鉱の探査・採掘、(四)核燃料の製造・供給、(五)放射性廃棄物の管理、(六)放射性同位体の産業・農業・医療利用、(七)核安全・放射線防護・環境防護および物理的防護。

また、協力の形式としては、科学技術者の交流や訓練、文献・技術情報の交換、報告会の開催、技術設備の提供、技術コンサルティング、奨学金支援、共同研究プロジェクトの実施などが含まれる。。

この協定は中共とイランの核協力の枠組みを形成しており、表向きには「平和利用」を目的としたものである。

しかしながら、中共が世界屈指の独裁国家であり、イランが中東でのテロ活動の主要拠点である事実を踏まえれば、書面上の「平和目的」なる規定の信憑性は著しく低い。

IAEAが発表した機密報告書によれば、2024年8月17日までにイランは濃度60%の濃縮ウランを49.8ポンド増加させ、合計で363.1ポンドを備蓄しており、これは核兵器4発分に相当する高濃縮ウランにほぼ到達している。

アメリカの専門家によれば、この60%濃縮ウランを核兵器級の90%に転換する作業には2週間もかからないという。

すなわち、イランが「平和利用」を表向きに掲げながら、実際には核兵器製造を目前に控える段階に至っているという現状は、中共とイランの「偽装平和協力」の成果と見るべきである。

第二:中共がイスファハン核研究センターの建設を支援

中共系メディアは「フォルドーやナタンズではなく、イスファハンこそがイラン核研究の技術的中枢であり、その頭脳部である」と報じている。

イスファハンはイラン中部に位置し、イラン最大の核研究拠点であると同時に、核計画の技術的支柱でもある。1984年に建設が開始され、その後中共の技術支援を受けて完成した。現在はおよそ3千人の研究者が活動している。

同センターは研究・生産・転換の三機能を統合しており、3基の小型研究用炉、濃縮物の転換施設、燃料生産ライン、ジルコニウム合金被覆管の製造施設などを備えている。

ワシントン・ポストによれば、このセンターの原子炉群は中共の技術支援により建設されたもので、MNSR–27kWミニ中性子源炉、亜臨界圧軽水冷却炉、重水ゼロ出力炉、黒鉛臨界炉などを含んでいる。

2025年6月13日、イスラエルはこのイスファハン核技術研究センターを空爆し、施設内のウラン転換機能を破壊した。

6月22日、アメリカ統合参謀本部議長ケイン将軍は、アメリカ国防総省の記者会見で「アメリカの潜水艦がイスファハン基地に向けて10発以上のトマホーク巡航ミサイルを発射した」と発表した。

同日夜、科学・国際安全保障研究所は評価報告を発表し、「イスファハンの主要なウラン転換施設が深刻な損傷を受けた」と明記した。

第三、1991年、中共がイランに1000キログラムの六フッ化ウラン(UF6)を輸送

1991年、中共はイランにウランを輸出し、同時に1990年にはイランと秘密裏に核協定を締結していた。国際原子力機関はこの実態を確認した。

六フッ化ウラン(UF6)は核分野において重要な物質であり、主に濃縮ウランの製造に用いられる。ウラン235の含有量を核兵器や原子炉で使用可能な水準に高めるために、六フッ化ウランが利用される。

中共の支援を受けたイランは、2005年8月までにイスファハンの核施設で六フッ化ウランの生産を開始し、すでにウランの濃縮度を3.5%まで高めたと発表した。

その後、イランは濃縮活動を加速させ、2024年には濃縮度を60%にまで引き上げた。この水準は核兵器製造に極めて近い。

第四、中共がイランに重要な核技術設備を提供

アメリカの「フィロス・プロジェクト」グローバル・イスラム主義キリスト教監視組織の主任であるファルハド・レザイ氏は、『ナショナル・インタレスト』誌において、数十年にわたり中共がイランに多様な核技術と設備を提供してきた実態を詳細に記述した。記事では次のように述べている。

「中国(中共)はイランに対し、濃縮技術の実験を可能にする設備を提供し、化学的な分離作業やイエローケーキの加工を支援した。さらに、ウランを六フッ化ウランに転換する施設の設計技術も共有した。加えて、中共は無水フッ化水素酸をイランに供給したが、これは六フッ化ウランの製造過程で用いられる主要な化学物質である」

第五、中共がイランの核科学者を訓練

レザイ氏は同じ記事の中で、多くのイラン核科学者が1980年代中盤から後半にかけて中国で訓練を受けていたと証言している。1996年には、中共が核実験を実施し、その場にイランの軍関係者と核専門家の一団を招いて視察させた。また、中共は自国内の核兵器実験場でイランの核技術者を訓練した。

中共がイランの核技術発展を積極的に支援する背景には、三つの主な理由がある。

その一、イランは中共の反米戦略における中東の要衝

中共は経済大国として台頭した後、アメリカに対抗する世界的な覇権戦略を推進してきた。アメリカ主導の戦後秩序を打破し、「人類運命共同体」と称する新秩序の構築を目指している。

イランは中東最大の反米独裁政権であり、ガザのハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、クルド労働者党、イスラム聖戦組織、シリア・イラクのシーア派民兵など、反米テロ組織の主要支援国として機能している。

イランはテロ組織による様々なテロ活動を支援し、アメリカの影響力を中東に分散させ、中共にとって有利な戦略的環境を作り出している。そのため、イランは中共にとって中東で最も重要な戦略的同盟国となった。

その二、イランは中共にとって主要な石油供給国

ベルギーのデータ分析企業ケプラー(Kpler)の統計によれば、2025年上半期において中国は日量138万バレルのイラン産原油を輸入した。前年は日量148万バレルに達し、総輸入量の14.6%を占めている。

イラン産原油の約9割が中国向けである。中共は核支援の見返りとして、イランから長期的かつ安価に石油供給を確保する体制を築いている。

その三、イランは「一帯一路」構想の中東戦略拠点

イランはアジア・ヨーロッパ・アフリカを結ぶ要衝に位置し、「一帯一路」構想における物流と戦略の結節点として極めて重要である。

2016年、習近平はイランを訪問し、「包括的戦略的パートナーシップ」の構築を発表した。2021年には、王毅外相とイランのザリフ外相が25年間の包括的協力協定に署名し、中共はイランに4千億ドルの投資を約束した。

中共はイランの核開発を支援することで、「一帯一路」構想に対するイランの忠誠と協力を引き出し、ユーラシア全域における影響力を強化しようとしている。

イランは1979年のイスラム革命以降、繰り返しイスラエルの壊滅を公言してきた。一方、中共は武力と独裁をもって国家を統治し、アメリカに対抗して世界秩序の主導権を握ることを目指している。イランへの核支援は、そのイデオロギーと戦略の延長線上にある。

イランの核開発が進展することで、イスラエルおよびアメリカは警戒を強めざるを得なくなった。そしてイランが核兵器保有に近づいたと判断した時点で、両国は迅速に行動を起こした。

今回の「12日間戦争」は、イランの核施設に対して大規模な打撃を与えるとともに、イラン政権のみならず、その背後にある中共政権に対しても打撃を加える結果となった。

中共がこの戦争に対して激しく反応し、繰り返し「強く非難」しているのは、まさにこの戦略的打撃に対する警戒と焦りを反映しているのである。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
王友群