日本を代表する歌手・浜崎あゆみが、中国・上海で突如公演中止となるも無観客のままフルステージを完遂した。そのプロ意識と毅然とした対応が中国内外のファンやメディアの話題を呼び、芸術に対する姿勢が大きな称賛を集めている
ニュースは毎年報じられるが、今年は例年に比べて特に多い。すでに2025年も年の瀬に近づき、中国からは奇妙なニュースが続々と伝わってきている。最近、特に大きな話題となった出来事がある。
11月29日、日本の著名な女性ポップシンガー、浜崎あゆみは、上海浦発銀行東方体育センターで、約1万4千席の空席に向かって「無観客ライブ」を行った。
浜崎は11月29日深夜の投稿で次のように述べた。「(主催者側から)前日に中止の要請を受けたあと、観客が一人もいない状態で、1曲目からアンコールまで通しで歌い、ようやく会場を後にしました」「出演者もスタッフも、正式な公演とまったく変わらない気持ちで全力を尽くしてこのステージをやり遂げました」と語った。
11月30日の夜、浜崎はInstagramに「無観客ライブ」の写真を9枚連続で投稿した。会場はきらびやかな照明に包まれ、紙吹雪が舞い、ステージ演出は完璧に整えられていた。
浜崎は投稿で「1万4千の空席が並んでいたけれど、世界中のTA(Team Ayu=浜崎あゆみのファンの呼称)からあふれるほどの愛を感じた。これは私にとって何よりも忘れられない公演の一つです。日中両国から集まった200人のスタッフ、バンドメンバー、ダンサーの皆さんに感謝します。このステージを実現させてくれて、心からありがとう……」と記した。
浜崎は上海を離れる前に、背中だけが写ったモノクロ写真を投稿し、「約束したことは必ず最後まで守らなければならない」との言葉を添えた。彼女はこの「無観客ライブ」をドキュメンタリー作品として制作するようスタッフに託し、チケット購入者には無料で提供する予定である。
浜崎の上海公演が中共当局により突如として中止されたこと、そして無観客での公演敢行という二つの出来事は、中国国内外で大きな反響を呼んだ。
中国国内 多くの人々が称賛の拍手を送り
あるネットユーザーは次のように投稿した。「何が『不可抗力』だ? 結局のところ、すべては権力の問題だ。中国で無制限に振る舞う党・国家権力こそが『不可抗力』なのだ」。
別のユーザーはこう記している。「浜崎あゆみという人を今まで知らなかった。だが今、彼女は自分のアイドルになった。理由は彼女の歌でも歌唱力でもなく、理不尽に対して優雅さをもって痛烈な一撃を与えたからだ」。
さらに別のコメントではこう述べている。「当局はファンが日本人アーティストを憎むと思っているのだろうか? 残念ながら逆だ。彼女を知らなかった多くの人々が称賛の拍手を送り、『徳と芸を兼ね備えたアーティストだ』と称えている」。
また、香港の火災のことがあって、「公演中止を知らされる前、浜崎はインスタグラムで香港の人々の無事を祈り、観客にできる限り赤い服を着ないよう呼びかけ、ステージ演出からも赤や炎の要素を外すよう求めた。『香港の友人たちはいつも私たちにあふれるほどの愛をくれる。だから彼らが悲しんでいる時に、赤や炎が目に入るようなことにはしたくない』と述べた」という声もあった。
「こんなにも優しく、それでいて芯の強い女性を、ある種の人々は最も粗暴なやり方で扱った。本当に恥ずかしいのはいったい誰なのか、もはや言うまでもない」とのコメントも投稿されている。
「人類史に名を刻むだろう」
有名なジャーナリストの顔純鉤氏は、「これは人類史上、前例も後例もないコンサートである。浜崎あゆみはこの公演によって人類史に名を刻むだろう」と評した。
「中共は今回も自ら投げた石で自分の足を打った。結果はどうか。浜崎あゆみは一切傷つくことなく、約束どおり報酬を受け取り、観客のために無観客のフルステージを完遂した。礼儀正しく中国に別れを告げ、後世まで語り継がれる話題を残した。一方、中共が得たのは、当初の狙いとは正反対の結果である。威光を誇示したかったが、露呈したのは体たらく。悪意を示したつもりが、かえってみじめな姿をさらけ出しただけだ」とも述べた。
X(旧ツイッター)には、「浜崎あゆみは空席だらけの会場に向かい、フルステージ(しかもほぼ完璧な)をやり遂げた。真の強者とは、怒りを無実の人にぶつける者ではなく、いかなる不条理な状況でも、自信を失わず最後まで約束を果たす者である。その姿勢が約束を破った者たちを恥じ入らせるのだ」といった投稿も見られた。
中国のネットユーザーたちは、浜崎の姿勢に深い感銘を受け、「本当にすごい。プロ意識が振り切れている」「この場面は歴史に刻まれる」「文明の光で野蛮な闇を照らした」「誠実で偉大なステージだ」などと称賛を寄せた。
あるファンは「かつて彼女は左耳の聴力を失ってもステージを完遂した。今、再び瓦礫の中から花を咲かせてみせた——これこそが『アイドル』の意味だ」と記した。
また、「多くの外国人がまず思い浮かべる都市が上海である。この理不尽な行為は、世界の目前で上海のイメージを打ち壊した」「上海はこれでの面目を失い、外資を引き寄せる夢も絶たれた。これは一時代の終わりを象徴する事件であり、その影響は上海ロックダウンにも匹敵する」といった声もあった。
他にも「恥をかいたのは中国(中共)であり、浜崎ではない」「現代版『美女と野獣』だ」「中国政府の顔に見事な一撃を加えた」といったコメントが寄せられた。
「今回の一件は中共官僚機構が世界に向けて“対外開放政策の破綻”を正式に認めたも同然だ」という指摘もあった。
あるユーザーは皮肉を込めて「浜崎あゆみの話題がネットを埋め尽くし、当局が展開する『対日大批判』をかき消してしまった」と述べている。
中共のネガティブキャンペーンが暴露された
国内外で浜崎を支持する声が広がる中、12月1日夜には中共系メディアの澎湃新聞が「デマ否定」声明を発表した。同紙は「浜崎の『たった一人のコンサート』という情報は事実ではなく、リハーサル中に盗撮された映像が拡散したものだ」と主張し、撮影チームの一員を名乗る頼宗隆氏が謝罪したと報じた。
これに対し、「だませるのは情報の繭に閉じこもっている人々だけだ」「公演禁止という本質を、盗撮やリハーサルの話にすり替えようとしているだけだ」と批判する声が上がった。
浜崎と長年タッグを組む美容師・高野友希氏は、このステージの全貌を目撃していた。彼女はインスタグラムのストーリーズで、「浜崎さんは誰もいない客席に向かって何度も『上海!』と呼びかけていた」「笑顔を浮かべながら会場を360度見渡していた」と投稿し、そのプロ意識に深い敬意を表した。「これはまさに伝説的なステージだ。後の世まで語り継がれるだろう」とも語った。
11月7日、日本の高市早苗首相は衆議院の質疑で、台湾海峡で戦争が起きた場合、「最悪の事態」を想定すれば日本にとって「存立危機事態」となり得る可能性が極めて高いと述べた。このような事態では、「新安保法」に基づき、日本は集団的自衛権を行使できることになると説明した。
中共はこれを受け、高市首相が「中共による武力統一」に対して武力介入を示唆したと断定し、愛国主義を唱えて反日キャンペーンを再燃させた。
露骨な「政治的パフォーマンス」の誤り
浜崎の公演中止は、この新たな反日ムードの中で行われた、稚拙で露骨な「政治的パフォーマンス」の一環である。そこには少なくとも六つの誤りがある。
第一に、国家への怒りを一般の日本人女性歌手にぶつけるのは筋違いである。
第二に、浜崎の公演は事前に決定していた商業イベントであり、政治的対立を理由に市場原理を無視することは許されない。
第三に、中共が怒りを向けるべき相手は高市早苗首相であり、主催企業(可萊可文化発展有限公司など)や、チケットを購入した一般観客ではない。
第四に、日本の芸能人をいじめ抜くことで日本政府に圧力をかけようとしたが、結果として逆効果だった。最新調査では、高市内閣の支持率は約75%に上る。
第五に、公演強行中止の結果、台湾の陳其邁高雄市長や蔣萬安台北市長が浜崎に台湾公演を熱烈に招待するなど、日台の絆をより強める結果となった。
第六に、中共の行為は芸術・アーティスト・観客に対する極端な軽視と無礼の象徴であり、国際都市・上海の名誉を汚しただけでなく、世界に住む中国系人々の誇りも傷つけた。
中共により公演が強制的に中止された後も、浜崎の対応は当局の予想を超えるものだった。彼女は「反日」騒動に一切コメントせず、怒りも涙も見せなかった。卑屈にも尊大にもならず、堂々とした姿で、1万4千席の空席に向かって自らの音楽を最後まで歌い切ったのである。
浜崎の毅然とした態度と中共の荒唐な振る舞いは鮮明な対照をなす。両者を比べれば、文明と野蛮、美と醜、約束を守る者と破る者、善良と憎悪、度量の広さと狭さ、優雅と下品の違いが一目瞭然である。
浜崎あゆみが機知に富んだ対応で中共を事実上「ノックアウト」したことを、「一人の女性が国家を打ち負かした」と評する声もある。しかし正確に言えば、「巨大な政党が、一人の小柄な女性に打ち負かされた」と言うべきである。
わずかな力で大きなものを動かすとはどういうことか。1万4千席の空席に向かって歌い続けた浜崎の姿こそ、その生きた例である。

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