8月6日、広島に原爆が投下されてから80年の節目、広島では今年も追悼式が行われた。追悼式典では、犠牲者への深い追悼の意とともに、核兵器廃絶が強く訴えられた。
国際的には北朝鮮や中国といった核保有国が隣接し、核兵器の拡散や抑止政策が進むなか、トランプ大統領の「原爆が戦争終結を早めた」との声は日本国民に衝撃を与えた。
しかし一方で、米国内でも通説となっている『原爆投下が戦争終結を早め、多数の犠牲を防いだ』との歴史認識は実情とかけ離れている、との指摘がある。
米国の少数政党であるリバタリアン党は昨年8月6日、声明で第二次世界大戦中における広島・長崎への原爆投下容認論の正当性を否定している。
「実際には45年5月下旬、日本は降伏を提案しており、加えて石油禁輸の影響で日本の燃料は枯渇し、同年7月末には日本海軍は主要な海軍作戦を完全に停止していた」と同党は声明で述べた。
また原爆投下の真の狙いはソ連に対する軍事的圧力をかけることであったが、結果的には冷戦や核軍拡競争を引き起こしたとして、当時の判断を非難。道義的な憤りや戦略的な疑問を呈した当時の軍高官らの言葉を並べ、原爆投下は「市民を大量殺害する行為であり、広島や長崎の悲劇が二度と繰り返されてはならない」と訴えている。
一方、現代では北朝鮮や中国など核保有国が日本の周辺に存在し、安全保障環境は厳しさを増している。唯一の被爆国である日本が核廃絶を訴え続ける一方で、核抑止を現実的な安全保障策とみなす議論も国内外で浮上し、現在大きなジレンマとなっている。
広島の市民や平和活動家の間では、「核廃絶だけでなく、あらゆる戦争自体の否定が重要」との声も上がっている。80年が経った今もなお、核兵器と安全保障のあり方という問題に答えは出ていない。
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