17日の参議院予算委員会で、参政党の神谷宗幣代表は、学校教育におけるデジタル教科書の導入を巡る課題を取り上げ、学力向上への効果について政府の見解をただした。
神谷氏は、デジタル教科書について「便利さや新しさばかりが強調されているが、本当に子どもたちの学力向上につながっているのか懸念の声がある」と指摘。紙の教材の方が学習効果が高いとする研究もあるとした上で、「デジタル化すれば学力が上がるというデータはない」と述べた。
さらに、スウェーデンでは2024年1月、初等学校の全国テストをデジタル形式から紙による試験へ修正した事例を紹介。「義務教育の早い段階では、ペンや紙、本で学ぶ方が望ましいとするデータが示されたためだ」と説明した。
そのうえで、松本洋平文科相に対し「デジタル教科書の導入が本当に学習効果を高めるのか。学力向上についてどのようなエビデンスに基づいて判断したのか」と質問した。
これに対し、松本氏は、デジタル教科書について、現在法改正と法案提出を視野に制度の見直しを検討していると説明。デジタルの利点を取り入れることで学習効果を高めることが狙いだと述べた。
具体例として、英語教育でネイティブ音声を活用できる点を挙げ、「話す・聞く活動を充実させることで学習効果の向上が期待できる」とした。また、現在は教材扱いとなっているデジタルコンテンツについて、動画などを教科書検定の対象とすることで質の保証を図る方針だと説明した。
松本氏は自身が学校現場を視察した経験にも触れ、「デジタル教科書から流れる音声を児童・生徒が個別に聞き、それを復唱する形で熱心に学んでいる姿を見た。そうした意味では効果がある部分もあると考えている」と述べた。
一方で、教師を対象としたアンケートでは、効果的な活用方法に関する情報不足を課題とする声も一定数あったとし、授業実践例の共有や教員研修の充実を進めてきたと説明した。
また、スウェーデンの事例については、経済協力開発機構(OECD)の分析として「生徒の年齢などに応じてデジタルを活用する政策」と位置づけられていると指摘。デジタル化を推進した2010年代には国際学力調査の順位が上昇しており、義務教育や高校段階でタブレットの使用を廃止した事実はないとの認識を示した。
そのうえで松本氏は、「デジタルを取り入れることで教科書の内容を子どもたちにとってより分かりやすくするため、現場の意見も踏まえながら検討を進めていきたい」と述べた。
これに対し神谷氏は、自身もかつて教員として勤務した経験があるとし、「現場では問題があるのではないかという声も聞く」と指摘。タブレットの電池切れや、ゲームなどで児童が集中できなくなる懸念があるとの意見があると紹介した。
その上で、「子どもは新しいものに飛びつきやすい。だからこそ先生や現場の声をしっかり聞き、慎重に判断してほしい」と政府に対応を求めた。
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