「台湾攻撃なら10億円寄付」
愛国を叫んでも当局に切られる中国の現実。専門家は「世論操作の一環」と警告する。
中国の教育系インフルエンサー張雪峰(ちょう・せつほう)は、9月3日の軍事パレードで「台湾攻撃なら5千万元(約10億円)寄付」と大口を叩いた。その20日余り後、微博や抖音など主要SNSの個人アカウントが一斉に規制された。
ただし全面封鎖ではなく新規フォロー禁止などの限定的な措置である。かつて完全に声を奪われた人気配信者・戸晨風(と・しんぷう)とは違い、今回は「愛国でも調子に乗れば切られる」という見せしめ劇の趣が濃い。
張氏は当日、自身の教育会社の数百人の社員を動員して閲兵式を視聴させ、その場で問題の発言を行った。ネット上では「発言の是非は当局の気分次第」「これは警告だ、沈黙こそ最大の保身」といった声が相次ぎ、自己検閲を強める空気が広がっている。
しかもこのタイミングは、同国俳優・于朦朧(アラン・ユー)の不可解な死をめぐり、国内外を巻き込む最大級の注目が集まっている最中でもある。専門家の間では「張雪峰への規制は単なる処分ではなく、世論の目をそらすための目くらましだ」との見方が強まっている。
愛国を叫べば出世街道。そう信じていたら大間違いだ。タイミングを誤れば即座に排除される。結局、愛国ですら風向きと運次第なのである。

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