世界の中でも自由で民主的だとされている日本で、国連から信教の自由に懸念の声が出ている。
国連の専門家グループは、日本における宗教または信仰の少数派に対する偏見、特にそれが子供や若者に与える影響について懸念を表明している。
「日本で子供たちに配布されている資料が、宗教や信仰の少数派に対する差別的な固定観念を強化し、正当な宗教や信仰の表明と児童虐待を直接混同する危険性があることに、私たちは失望している」
政府が今年5月から7月にかけて、日本全国の小学生に「子供の人権SOSミニレター」を配布した。
「これらのパンフレットは児童虐待に関する重要な情報を強調し、若者と国家の間の人権に関する非常に有益な連絡手段を提供していたものの、一部の慣行や活動、特にエホバの証人の活動を標的にしているように見えるのは残念だ」と専門家らは述べた。
「これらの資料は、宗教や信仰の少数派に属する子供たちを守るどころか、いじめや疎外を助長する恐れがある」と専門家らは指摘している。
また「宗教的信仰等に関連する児童虐待への対応に関するQ&A」(「Q&Aガイドライン」)に関して、市民社会や少数派と協議を行うことは、こうした差別的な懸念に対処する上で役立つだろうと専門家らは述べた。
「我々の以前の懸念に沿って、エホバの証人を含む宗教や信仰の少数派が、子供と一緒に祈ったり、宗教上の理由で特定の活動から遠ざかったりするなど、市民的及び政治的権利に関する国際規約第18条に則った合法的な宗教活動を行っている場合でも、当局の監視が強化されているという信頼できる報告を受けている」と専門家らは述べた。
「Q&Aガイドラインの差別的な枠組みを継続的に使用・再利用していることが、宗教や信仰の少数派を監視や行政上の嫌がらせの対象とする、より広範なパターンに反映されているのではないかと懸念している」と彼らは述べた。
「家庭や学校における暴力や虐待と闘うために、子供や若者と真摯に向き合う努力は高く評価し、奨励するが、そうした誠実な努力が少数派に対する差別につながってはならない」
また専門家らは今年 3月に下した世界平和統一家庭連合の解散命令について、国際自由権規約が保障する信教の自由の侵害に当たる可能性があると警告した。
この解散命令について、教団は4月7日、法人として刑事事件を起こしたことはなく、民事事件において不法行為が認定されたケースも2件にとどまると主張し、解散命令決定を不服として、正式に抗告した。
同教団は2022年に岸田文雄首相(当時)が「民法上の不法行為も宗教法人法上の解散事由に該当する」との見解を示したことについて「家庭連合を標的にした国家による宗教弾圧」であり「憲法に違反する」と批判した。
専門家らは、東京地裁の決定について「解散命令の根拠とされた不法行為判決は、『社会的相当性』の違反に基づいており、それが『公共の福祉』に対する重大な侵害を構成すると判断された。しかし、国連人権委員会がこれまで指摘したとおり、『公共の福祉』という概念は曖昧かつ無限定であり、国際自由権規約の許容範囲を超える制限を認める恐れがある」と指摘している。
日本も批准する国際自由権規約第18条は「すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する」と定めている。
国連人権委員会は過去15年以上にわたり、日本政府に「公共の福祉」という概念によって信教の自由を制限してはならないと勧告してきた経緯がある。
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