中国・雲南省の南景高速道路が、大雨のあとに無数の亀裂が走り、路面がバラバラに割れて崩れ落ちた。開通からわずか3年。地元政府は「自然災害」と発表したが、市民の間では「また手抜き工事だ」として、あきれ返っている。
事故は11月3日夜、普洱(プーアル)市景東(けいとう)県で発生。現場の映像には、二車線の路面が細かく割れ、舗装が波打つようにずれ落ちて階段状になっている様子が映っている。崩れた部分の下には赤土が露出し、地盤ごと沈み込んでいるのが分かる。

当局は「豪雨による自然災害」と説明したが、専門家は「排水設計と地盤補強を怠った人災」と指摘する。
南景高速は総工費約138億8千万元(約2900億円)を投じ、2022年に全線開通。国有企業グループが建設を主導した。しかし、中国ではこうした道路崩落が相次いでおり、人々はもはや驚かなくなっている。
(崩落した雲南省の南景高速道路、2025年11月3日、普洱市景東県)
昨年5月にも、広東省梅州市の「梅龍高速道路」で同様の惨事が起きた。大雨の翌未明、路面がおよそ18メートルにわたり崩れ、23台の車が転落。炎上する車両が並び、現場は地獄のような惨状となった。当局は「長期降雨による自然災害」と説明し、公式発表では52人が死亡、30人が負傷したとしているが、犠牲者数に疑問を抱く声も多い。開通から10年足らず、事故直前に安全検査を通過したばかりだった。

壊れるはずのない道路や建物が壊れることが、中国では日常の光景になりつつある。
市民はもはや調査結果を待つまでもなく、ニュースを知った瞬間に「どうせまたおから工事(手抜き工事)だ」と反射的に思うほど、構造的な腐敗に幻滅し、あきれ果てている。
なお「おから工事」とは手抜き工事のこと。中国では、住宅の品質や企業の社会的責任よりも、利益追求をはるかに優先する建築業者が多く、豆腐のおからのように、手で砕けるほどもろい「おから工事(豆腐渣工程)」と呼ばれる手抜き工事が、以前から大きな社会問題となっている。
(素手で曲げられる細い鉄筋。粗悪な建材の一例)
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