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香港10億円現金強盗 30秒で犯行 15人逮捕も現金未回収

2025/12/23
更新: 2025/12/23

香港・上環の永楽街で​​12月18日、約10億円の現金が奪われる強盗事件が発生した。警察は事件後、関与した疑いで15人を逮捕したが、奪われた現金はまだ回収されていない。

警察によると、犯行は綿密に計画されており、容疑者らは犯行前から現場付近で待ち伏せしていた。犯行は約30秒で完了し、その後は待機していた車が迎えに入り、奪った現金を持ち去ったという。

香港警察・港島総区刑事部門(行動部)の冼国明警司は22日の記者会見で、事件の経緯を説明した。事件は18日午前9時ごろに発生した。暗号資産や高級品を取り扱う日本企業の社員2人が、両替店で約10億円を両替するため、現場付近を訪れていた。

2人が永楽街33号付近を歩いていたところ、乗用車1台が接近し、車内から3人が降車。このうち1人が刃渡り約20センチの包丁を示して2人を脅迫し、4つのスーツケースに入っていた現金約10億円を奪って逃走した。被害者にけがはなかった。

通報を受けて捜査に当たった警察は、容疑者らが現場近くで4つのスーツケースを別の7人乗り車両に積み替えた後、最初に使用した乗用車を蘇杭街に乗り捨てていたことを確認した。

香港重大事件捜査隊第1隊の総督察である文智陽さんは、被害者が現れる前から容疑者らが現場で待ち伏せしていたと説明。被害者が現れるとすぐ乗用車を前に進めて降車し、スーツケースを奪取。全体の流れは約30秒で、手口は素早く手慣れたものだったという。

容疑者らは現場を離れた後、逃走を支援する別の車両と合流し、さらに2人がスーツケースを車両間で移し替えた。その後、2台の車はそれぞれ現場から離れた。

警察は現場付近で最初に使われた乗用車を発見し、車内から犯行に用いられた包丁のほか、使用したとみられるマスクや飲料を押収。その後、新界地区で逃走支援に使われた2台目の車両も発見した。

香港総区刑事部の冼國明警司(左)と、香港総区重大事件捜査隊第1隊の文智陽総督察(右)が、22日午前、事件の経緯について説明(余鋼/大紀元)

多数の防犯カメラ映像を精査した結果、警察は各地で捜索・検挙を行い、20~69歳の15人(男11人、女4人)を逮捕した。逮捕者の一部には、犯罪組織との関わりが疑われる者もいるという。警司は、逮捕者には首謀者、当日の実行犯、見張り役、車両の手配・提供に関与した人物が含まれ、多くは無職、または日雇い等と申告していると述べた。

警察はこのうち7人(男6人、女1人)を、共謀して強盗を行った疑いで起訴した。捜査は現在も継続しており、今後さらに逮捕者が増える可能性があるとして、市民に対して事件に関する情報提供を呼びかけている。

また、容疑者側が、被害者が多額の現金を両替しに訪れることをなぜ事前に把握していたのかについて、冼警司は「捜査上の重要な焦点の一つだ」と述べた。

なお、事件当日に身柄を確保された、中国本土と香港を往復できる許可証を所持する男性については、保釈のうえ捜査を継続しているものの、現時点では本件への関与は限定的とみているという。

一方で、この男性の所持品から危険薬物とみられる物質が見つかり、鑑定のため提出されたほか、スーツケースからは外貨も発見された。警察は、外貨の入手経路についても詳しく調べている。

葉澤宇