オピニオン 北京が受け取っている戦略的シグナルとその意味

トランプ政権によるベネズエラ攻撃は中共の世界的役割に挑戦している

2026/01/10
更新: 2026/01/10

ドナルド・トランプ米大統領が、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束するために軍事力を用いる決断を下したことは、ラテンアメリカにおける麻薬取引に関与する独裁者を一人捕らえるという話にとどまらない。それは、南北アメリカにおける中国共産主義の影響力に対する大きな反撃でもある。しかも、これは決して初めてのことではない。

ベネズエラへの数ある打撃の一つ

今こそ、その時だったとも言える。アメリカはついに、毎年何万人ものアメリカ人を死に追いやる違法薬物に対して、本当の意味での戦争を遂行し始めた。しかし、アメリカの政策転換は薬物問題にとどまらない。新たな国家安全保障戦略は、地域の地政学をアメリカの戦略的利益に沿って再編成することを目的としている。

この文脈において、マドゥロ大統領が無料ヘリコプター送迎でカラカスを離れ、ニューヨーク市を訪れることになったのは、アメリカの外交政策における一連の前のめりな変化の最新例にすぎない。トランプ政権がベネズエラの「麻薬船」を繰り返し攻撃し、中国に向かっていたベネズエラの石油タンカーを拿捕してきたことは、新たな地政学の時代が到来したことを示す明白なシグナルだったはずだ。

ベネズエラへの軍事侵攻は、決して驚くべきものではなかった。

中国

中国寄りだったベネズエラ政権の「斬首」は、地政学、貿易、政治の各面で北京に打撃を与えた。長年にわたり、中国系犯罪ネットワークは、ベネズエラを拠点として、麻薬密輸の仲介、カルテルの強化、人身売買など、アメリカを標的とする有害な活動を行ううえで大きな自由を享受してきた。

そのため、北京の分析者たちは、アメリカによるベネズエラへの行動を、中国に直接挑戦する戦略的文脈の中で理解している。

軍事行動の新たな文脈か

中国共産党(中共)にとって、カリブ海におけるアメリカの軍事行動は、単なる対麻薬作戦として孤立して見られているのではない。それは、アメリカが正当性をどのように位置づけ、エスカレーションを管理し、国際的批判をどのように受け止めるかという、新たな枠組みの一部として捉えられている。言い換えれば、北京は、ワシントンの行動と、それに対する世界の反応を注視している。

中共はまた、賭け金がベネズエラだけにとどまらず、この地域およびそれ以外のすべての中国の同盟国に及んでいることも理解している。

より身近な問題として、中国の観測筋は、アメリカの行動を、台湾との軍事的再統一に向けた潜在的な道筋として解釈している。

中国に対するアメリカの反撃の戦略的事例としてのベネズエラ

マドゥロ氏拘束に先立ち、トランプ政権は、麻薬密輸船と疑われる船舶への攻撃と、カラカス沖での石油タンカー拿捕を含む強硬な海上取締りを組み合わせた行動を取っていた。

中国の外交当局は、これらの攻撃や阻止行動を国際法違反であり、地域の平和に対する脅威だとして非難した。中国外務省は繰り返し「国際関係における武力の使用または威嚇」に反対し、いかなる口実であれベネズエラへの外部介入を否定すると述べてきた。

しかし、この公式声明は、世界の違法薬物取引における北京の中心的役割を無視している。その取引は、地域政府を不安定化させ、あるいは事実上支配する麻薬カルテルを支える金融エンジンにもなっている。また、中国がこの地域で持つ巨大な経済的影響力も無視している。その影響力は、アルゼンチンの戦略的希土類鉱物から、ブラジルの大豆、ベネズエラの石油と違法薬物、パナマ運河近くでの軍事化の可能性を持つ基地、さらにはメキシコのカルテルや政治・経済エリートにまで及んでいる。

北京は、この地域におけるアメリカの反撃を、アメリカの「裏庭」における中国の影響力、そして南北アメリカにおける中国の主権的立場に対する挑戦として見ている。また、ワシントンの「砲艦外交」を、世界的な大国かつ競争相手としての中国に対する侮辱と受け止めている。北京は、アメリカ主導のルールに基づく国際秩序はもはや機能しておらず、主権や内政不干渉、国際ルールは、少なくともアメリカの利益が絡む場合には適用されなくなったと結論づけるかもしれない。

中国は評判を守りたい

関連する懸念として、アメリカの覇権に挑戦する世界的勢力として、中国は同盟国にも潜在的な敵対国にも、尊敬され、恐れられる存在でありたいと考えている。トランプ政権によって中国の評判と決意が試される中、中国政権は、明確にアメリカに挑戦するか、さもなければ世界の舞台で面子を失う危険を冒すことになるかもしれない。それは中共にとって到底受け入れられない事態である。

仮に中国が、アメリカによるベネズエラへの軍事行動を事実上容認してしまえば、中国の同盟国は、「中国と組んでいることで、かえってアメリカから報復を受けるのではないか」と不安を抱くようになるだろう。

そのため北京は、アメリカがどこまで軍事行動をエスカレートさせても、国際的な非難を受け流し、実質的な代償を免れられるのかを注意深く見極めている。もしアメリカが大きな代償を払わずに軍事行動を遂行できるとすれば、中国は、自国の軍事行動についても「防衛」や「治安維持」と位置づければ、同様に許容され得ると判断するかもしれない。

これは特に台湾に関して当てはまる。中国は近年、グレーゾーン作戦、領空侵犯、海上封鎖演習を通じて、平時の圧力と戦時態勢の境界をますます曖昧にしている。

とはいえ、組織犯罪や麻薬取引に結びつく収入源を断つために必要だとするアメリカのベネズエラ政策の位置づけは、即時の外交的反発を最小限に抑えつつ、強制的行動を正当化する方法について、中国の戦略家に一つのモデルケースを提供する可能性がある。

主権ナラティブとその戦略的価値

アメリカの競争相手として、中共は、アメリカの行動を自らの利益のためにどう利用するかを検討している。

例えば北京は、ベネズエラに対するアメリカの軍事的圧力の高まりを、世界にはアメリカの地政学的支配に代わる選択肢が必要だと主張する根拠として挙げている。また、主権尊重と内政不干渉を強調する姿勢は、単なる外交的レトリックではない。

中国当局者は、ベネズエラ近海でのアメリカの海上行動が「他国の主権と安全を侵害し」国連憲章の基本原則に違反していると述べている。そしてベネズエラなど海外で軍事行動を行うアメリカの姿勢を「他国の主権を侵害している」と批判する一方で、台湾問題については「中国の内政問題であり、外部が介入すべきではない」と主張している。こうした二つの主張を対比させる枠組みは、そのまま北京が台湾問題を正当化するための論理として使われている。

これは極めて重要である。台湾は、中国にとって軍事的な問題であると同時に、正統性の問題でもあるからだ。その結果、アメリカが海外での軍事行動を「法執行」と位置づけていることは、中共にとって格好の宣伝材料となる。

中国側はこれを利用して、ワシントンの行動基準は一貫していないと主張し、将来の国際的危機における米国の道義的な発言力を弱めようとする。その延長線上で、中国は台湾への武力による統一を、主権や道徳の問題ではなく、あくまで「法的問題」として位置づけることが可能になる。

注目すべきことに、2025年12月末、中国政権は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。これは、アメリカのベネズエラ政策への反応だったと主張することもできる。

最後に、空母や数千人規模の部隊による海上阻止や封鎖を含む、ベネズエラ周辺での広範な米軍の展開は、アメリカの資源と国家的関心を引き伸ばす可能性がある。

もしアメリカが、地理的には広範囲で軍事力を行使している一方で、その対応に差があるように見えれば、北京は、ワシントンにはすべての戦域で同時に強力な対応を取る余力がないと判断しかねない。その結果、中国の計画立案者は、台湾において独自の迅速な軍事作戦を開始できるとの認識を強める可能性がある。

疑いなく、中共は、アメリカがどこに注意、資源、政治的資本を向けているのかを注視し、選択肢を秤にかけている。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
『中国危機』(Wiley、2013年)の著者であり、自身のブログTheBananaRepublican.comを運営している。南カリフォルニアを拠点としている。