カナダ与党議員の訪台打ち切りに波紋 首相訪中控え「対中迎合」と野党反発

2026/01/13
更新: 2026/01/13

台湾を訪問しているカナダの超党派議員団に参加していた与党・自由党の議員2人が、カナダ政府の助言を受けて予定を切り上げ、早期帰国することが分かった。マーク・カーニー首相が中国訪問に向け出発するのに合わせた対応で、野党・保守党は「民主主義を損なう行為だ」と強く反発している。

早期帰国するのは、自由党のヘレナ・ヤチェック議員とマリー=フランス・ラロンド議員。2人は保守党の議員3人とともに台湾を訪問しており、訪台は台湾総統府の招待によるものだ。カナダ紙グローブ・アンド・メールは1月12日、両議員がカナダ政府の助言を踏まえて帰国を決めたと報じた。

保守党で外交問題を担当するマイケル・チョン議員は、カナダ政府の対応を「北京への迎合」だと非難した。

「政府関係者からの圧力によって、自由党議員2人が台湾訪問を切り上げたとすれば、それは中国共産党(中共)の権威主義に屈したに等しい」と述べ、「このような行為は、カナダの民主主義と台湾との関係を弱め、北京の威圧を助長する」と批判した。

チョン議員はまた、同行している保守党のメリッサ・ランツマン、アダム・チェンバーズ、シェルビー・クランプ=ニューマンの各議員は帰国を求められていないという。

今回の議員団の訪台は、カーニー首相が1月13~17日まで、中国を訪問し、多数の政府関係者とともに代表団を率いる日程と重なっている。

カーニー首相は、長年にわたり冷え込んでいたオタワと北京の関係改善を図りたい考えだ。

中国は近年、台湾への圧力を強めており、2025年12月下旬には台湾を包囲する大規模な軍事演習を実施した。これに対しカナダ政府は、「台湾海峡の現状を一方的に変更しようとするいかなる試みにも反対する」との立場を示した。

カナダ外務省は1月1日の声明で、「台湾海峡の平和で開かれた性格を維持することは、すべての当事者の利益にかなう」と強調している。

中共と外交関係を結ぶ国は、台湾を主権国家として承認しないことを求めている。カナダは1970年、ピエール・トルドー首相の下で、中国と国交を樹立し、台湾と断交した。現在、台湾を正式に承認している国は、グアテマラ、パラグアイ、バチカンなど12か国にとどまっている。

ヤチェック、ラロンド両議員はグローブ紙に対し、「台湾に対するカナダの立場は変わっていない」と述べ、今回の訪問の目的は貿易や文化交流、「人と人との強い結びつき」に関する意見交換だったと説明した。台湾政府関係者との会談も予定していたという。

両議員は「首相の北京訪問と時期が重なった以上、カナダの外交方針について混乱を生じさせないことが重要だ」と語った。

一方、オタワの対中姿勢はここ数か月で変化している。カーニー首相は昨年春の選挙戦では、中共を「カナダにとって最大の安全保障上の脅威」と位置付け、民主主義への干渉を問題視していた。また、中共への対応を巡り、トランプ大統領を「変革的だ」と評価していた。

しかし最近では、アナンド外相が10月の訪中後、「カナダと中国は戦略的パートナーだ」と発言。10月下旬に韓国で行われたカーニー首相と習近平の会談についても、首相府は「両国関係の転換点となった」と発表している。

カナダ政府は、今後10年で対米以外の輸出を倍増させる計画の一環として、中国との貿易拡大を重視しており、カーニー首相とアナンド外相は「現実的(プラグマティック)」な対中関与を進めているとしている。

これに対し保守党は、カーニー政権の対中姿勢が、ジャスティン・トルドー前首相の路線と変わらないと批判している。

チョン議員は「カーニー首相は、中共政権に対してトルドー前首相と同じ対応を取っているように見える」と述べた。

モントリオールを拠点とするエポックタイムズ記者。Twitter: @NChartierET