4月28日、出光興産の超大型原油タンカーが、サウジアラビア産原油を満載してホルムズ海峡を通過した。イラン戦争の勃発以降、日本のタンカーがペルシャ湾を出たのは初めて。
ブルームバーグがまとめたタンカー追跡データによると、「出光丸」は27日夜遅く、アブダビ北西部からホルムズ海峡に向かった。同タンカーはそれまで、アブダビに1週間以上停泊していた。
データによれば、同船はイラン当局が承認した北側航路を進み、ケシュム島とララク島の近海を通って、28日にホルムズ海峡を無事通過した。
同船には、3月初めにサウジアラビアのジュアイマ港で積み込まれた原油200万バレルが載せられている。
船舶追跡サイト「MarineTraffic」もXに投稿し、「出光丸」が原油200万バレルを積み、28日早くにホルムズ海峡を通過したと伝えた。
MarineTrafficは、エネルギー・海運データ分析会社Kplerの見方として、「日本の船主はこれまでも地域の安全保障リスクに対して極めて慎重な姿勢を取ってきた。今回の航行は、慎重な判断のうえで安全性に一定の見通しを持ったことを示す重要な動きだ」と紹介した。
この超大型原油タンカーは2007年建造で、パナマ船籍。アメリカとイスラエルがイランを攻撃する数日前にペルシャ湾に入っていた。現在、名古屋に向かっており、5月中旬に到着する見通しだ。
同社の広報担当者は、安全上の理由から、出光興産として個別の船舶の動向についてはコメントを控えるとしている。
「出光丸」の海峡通過が注目されているのは、米軍がイランの港湾を封鎖して以降、ホルムズ海峡を通過した最大級のタンカーの一つだからだ。ただ、ルビオ米国務長官は27日、米軍の封鎖についてFoxニュースに対し、「封鎖は一般の海上輸送を対象にしたものではない」と述べた。
ルビオ氏は「これはイランの海運を対象にした封鎖だ。彼らがホルムズ海峡における違法かつ不適切で、不合理な料金徴収・管理体制の唯一の受益者になることは許されない」と語った。
戦争中にも、日本関連の一部船舶はホルムズ海峡を通過していたが、原油以外の貨物を運ぶ船に限られていた。
Kplerの船舶追跡データとSynMaxの衛星分析によれば、2月28日の戦争勃発前には、1日あたり125隻から140隻の船舶がホルムズ海峡を出入りしていた。しかし、27日に同海峡を通過した船舶はわずか7隻にとどまった。
船舶追跡データによると、同日には、アラブ首長国連邦のアブダビ国営石油会社が運航するLNG運搬船もホルムズ海峡を通過し、現在はインド付近にいる。これが事実であれば、戦争勃発以降、LNGを満載した運搬船がホルムズ海峡を通過した初めてのケースとなる。ただし、同船がいつ出港したかは明らかになっていない。
船舶仲介会社BRSは今週の報告書で、仮にホルムズ海峡の通航がただちに再開されたとしても、「タンカー市場と石油市場が一定程度正常化するのは、少なくとも9月以降になる」との見方を示した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。