中国版TikTok「抖音(ドウイン)」で最近、深夜になると、若者たちが隠語や風刺を使い、共産党や習近平政権への不満を次々と投稿する「深夜の造反」と呼ばれる現象が起きている。
投稿の多くは直接的な表現を避け、「豚の絵」(習近平のあだ名の一つが「豚頭」であるため)や、意味深な書道の文字、戦車を連想させる画像など、習近平政権や天安門事件を暗示する内容が拡散されている。
さらに、香港の民主化運動関連の曲や、詩を使った風刺投稿も増えている。
中国事情に詳しい評論家の唐靖遠氏は、この現象について「経済悪化や失業問題への不満が背景にある」と分析する。
特に若者の間では、中国のネット規制を回避して海外サイトを見るための接続手段「VPN」を使い、国外サイトにアクセスして、当局が見られたくない天安門事件や過去の弾圧などの情報に触れる人も増えている。
その結果、多くの若者が、これまで知らなかった中国共産党(中共)の歴史や弾圧の実態を知り始め、徐々に「目を覚まし始めている」と唐氏は指摘する。
一方、中国ではSNS検閲が極めて厳しく、敏感な内容はすぐ削除される。そのため利用者たちは、隠語や言葉遊び、詩、比喩画像などを使って遠回しに不満を表現している。
また、昼間は検閲担当者が大量の投稿を監視しているため、問題投稿はすぐ消されるが、深夜になると監視が手薄になり、削除される前に多くの人の目に触れるケースが増えるという。
昼は消される投稿も、夜中になると再び現れる。消されても、また投稿する。そのせめぎ合いは今も続いている。
唐氏は、「当局は長年、言論統制という『ダム』で民衆の不満を押さえ込んできた。しかし今、そのダムではもう抑えきれなくなりつつある」と指摘する。
中国の著名な法学者で、北京大学元教授、体制の内側を知る論客として知られる袁紅冰(えん・こうひょう)氏も本紙に対し、「民衆と官僚の不満が同時に噴き出している」と指摘。さらに習近平体制について、「砂上の建物のように崩れ始めている」とし、「大きな変化は、一つのきっかけで起こり得る段階にある」との見方を示している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。