広西チワン族自治区で続く洪水被害の中、六藍ダムの決壊を受けて、中国共産党(中共)当局の治水方針が改めて注目を集めている。豪雨のたびに、なぜ中国各地で「予告なき放流」が繰り返されるのだろうか。専門家からは、こうした事態が頻発する根本的な原因について、天災や技術的な問題だけでなく、体制下における責任追及メカニズムの機能不全や、効果的な監督の欠如がもたらした「人災」であるとの指摘が出ている。
今月6日、広西の六藍ダムが豪雨により決壊した。当局の発表によると、ダムは午前6時に放流を開始したものの、下流の住民に避難指示が出されたのは午前8時になってからだった。その2時間後にはダムが決壊し、濁流が下流の村や町を飲み込んだ。この事態により、事前警告のない放流や警告システムの欠如に対する当局への非難が再燃している。
実際、こうした事態は近年、決して珍しいことではない。
2024年の福建省上杭県、2023年の河北省涿州市、そして2021年の河南省鄭州市における豪雨災害でも、ダム放流時の事前警告が不十分だったために下流の住民が対応できず、内外から激しい批判を浴びた。
分析によると、中国では未だにダム放流の事前警告や責任追及のメカニズムが確立されておらず、市民は事前に情報を知らされる権利がないだけでなく、被災後に法的責任を追及することも極めて困難だ。
元北京弁護士で独立学者の頼建平氏は「こうした手法の目的は、市民を欺き、客観的に『こうするしかなかった』という偽りの状況を作り出すことにある。さらに重要なのは、責任から逃れるためだ。通常、事前に警告を出して住民に避難や家財の持ち出しを促せば、補償責任が生じるのが一般的だ。しかし、予告なしに放流してしまえば、多くの場合、その責任をはぐらかすことができるのだ」と指摘した。
また、地方政府が事前にダムの貯水容量を空けておこうとしない背景には、発電や養殖業による利益の確保、そして官僚への責任追求の圧力があると考えられている。そのため、豪雨が直前に迫るまで放流をためらい、結果として急な放流を余儀なくされ、そのリスクを下流の住民に転嫁している。
専門家は、こうした悲劇は単なる天災ではなく、むしろ人災として捉えるべきだと主張している。
頼建平氏は、「中共の治水、特にダムの放流という問題に関しては、最低限のルールや法律すら存在しない。つまり、あえて法制化していないのだ。法制化しなければ、専門家による科学的な治水を排除し、地方幹部の意向や主観的かつ独断的な決定によって、思いのままに処理できるからだ。したがって、根本的には国家の政治体制がもたらした結果だと言える」と批判した。
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