令和8年熊本地震 政府が支援加速 生活再建支援金 仮設住宅の整備と災害関連死防止へ

2026/08/10
更新: 2026/08/10

政府は8月10日、首相官邸で「令和8年熊本地震」の非常災害対策本部会議を開き、避難所の衛生環境改善、罹災証明書の迅速交付、医療・福祉支援、仮設住宅の整備などを加速する方針を確認した。発生から13日、猛暑や断水が続く被災地では、避難生活の長期化に伴う災害関連死を防ぎ、生活再建と地域経済の復旧を切れ目なく支えることが課題となっている。

7月28日にマグニチュード7.1、最大震度7を観測した地震の発生から13日となった。倒壊家屋からの救助を中心とした初動対応から、避難生活の長期化を見据えた支援へと重点が移っている。猛暑の中での避難生活による災害関連死を、いかに防ぐかが課題である。

会議を主宰した高市首相は、熊本県の木村知事から寄せられた要望を踏まえ、関係閣僚に対応を指示した。

要望は、避難所の衛生環境の改善や生活用水の確保、医療・福祉支援の充実と、復旧・復興に向けた事業者支援である。首相は、前回の会議で策定を指示した支援策に必要な施策を盛り込み、早めの対応を進めるよう求めた。

災害対策

被災者生活再建支援金

多数の住宅被害が確認されたことから、被災者生活再建支援法は熊本県全域に適用される見込みである。被災世帯には、最大300万円の支援金が支給される可能性がある。

支援金の申請には罹災証明書が必要となる。首相は赤間防災担当相に対し、被災者が速やかに支援を受けられるよう、罹災証明書を迅速に交付する体制を整えるよう指示した。

過去の災害では、罹災証明書の発行の遅れが、生活再建に向けた支援の遅れにつながった。自治体の対応が重要となる。

避難所の環境改善とホテル・旅館への二次避難

避難所の生活環境の改善は、命を守るための課題となっている。

首相は、トイレカーや段ボールベッド、水を循環利用するシャワー、キッチンカーなどについて、被災地の状況を把握したうえで、きめ細かな支援を進める考えを示した。

避難所からホテルや旅館などに移る二次避難も進んでいる。熊本県は8日、ホテル・旅館などへの避難の申し込みを受け付けるコールセンターを開設した。

仮設住宅の整備、建設 賃貸型の受け付 医療の届け

建設型応急住宅は、宇城市、氷川町に加え、美里町で9日に着工した。熊本市でも10日から着工が始まった。賃貸型応急住宅の受け付けは、すでに14市町村で行われている。

首相は赤間防災担当相に対し、避難所の環境改善と仮設住宅への入居が着実に進むよう、自治体への支援を続けるよう指示した。

台風13号の接近に伴い八代港を離れていた「はくおうⅡ」は、10日に再入港した。11日から、入浴支援や冷房の効いた休憩所の提供のほか、「船舶活用医療推進法」に基づく医療提供を再開する。

猛暑と断水の中で災害関連死をどう防ぐか

首相は上野厚生労働相に対し、在宅避難や車中泊を続ける人も含め、支援を必要とする人に継続して医療・福祉支援が届く体制を整えるよう指示した。

2016年の熊本地震では、死者約278人のうち、約8割に当たる約228人が災害関連死だった。車中泊によるエコノミークラス症候群、持病の悪化、避難生活による心身の負担などが背景にあった。

今回は、40度に迫る猛暑に加え、一部地域で断水が続いている。DMAT=災害派遣医療チームやDPAT=災害派遣精神医療チームによる活動は進められているが、避難所から二次避難先へ移る人が増える中、支援が途切れないようにする必要がある。

水道・宅内配管・交通網の復旧に向けた政府支援

首相は、医療・福祉機関や避難所への給水が滞らないよう、給水車の派遣を徹底する考えを示した。9日と10日に米軍が行った飲料水の輸送支援には、謝意を示した。

生活用水として使われている井戸の一部では、地震による濁りで利用できない状態が続いている。政府は業界団体と連携し、復旧工事を担う事業者の確保を進める。

水道の復旧が進む一方、各家庭の宅内配管の修繕が課題となっている。政府は、修繕を担う事業者について住民に周知するなど、蛇口から水が出るまでの対応を進める。

交通網の復旧も進められている。運行を停止しているJR九州の鉄道路線については、今月中に復旧時期の見通しが示される予定である。

九州自動車道は、11日から全線で緊急車両の通行が可能となる見通しである。8月後半には、一般車両の通行も再開できる見通しとなっている。

首相は金子復興相に対し、技術的な支援も含め、事業者と連携して復旧を進めるよう求めた。

中小企業・雇用・観光を支える復旧・復興策

中小企業などへの支援も進められる。局地激甚災害に指定される見込みとなったことを受け、「自治体連携型補助金」を通じて、熊本県が県内全域で実施する中小企業・小規模事業者の復旧事業を、高い補助率で支援できるようになる。

首相は、繰り返し災害の被害を受けた事業者への支援も含め、丁寧で柔軟な対応を検討するよう、赤澤、片山両大臣を中心に指示した。

雇用については、地域で雇用を維持できるのか不安の声が出ている。首相は上野厚生労働相らに、関係機関と連携して必要な対策を講じるよう求めた。

観光についても、需要の回復と風評被害への対応が必要だとして、金子復興相に迅速な対策を指示した。

災害廃棄物、公費解体、防犯、文化財保全への対応

震災に便乗した窃盗などの犯罪は、10日午前8時30分までに7件が確認された。このうち1件では、8日に容疑者が検挙された。

首相は警察に対し、防犯カメラの追加設置を含め、被災者の不安を和らげる取り組みを進めるよう要請した。

災害廃棄物については、損壊家屋の公費解体・撤去を求める声が高まっている。首相は石原大臣に対し、環境省、熊本県、熊本市が設置した「支援調整本部」を活用し、迅速に対応するよう指示した。

被災した学校で新学期を円滑に始めるための支援や、避難所となっている学校との調整、熊本城の石垣を含む文化財の保全についても、松本大臣に支援の徹底を求めた。

10年前の地震でも被害を受け、修復の途上にあった熊本城が再び損傷したことは、今回の地震による被害の大きさを示している。

全国の自治体職員や各省庁の職員が被災地に入り、災害廃棄物対策や熱中症対策に当たっている。首相は、自治体ごとに異なる課題に対応するため、必要な人員を被災地に派遣するよう指示した。

熊本地震から2週間、政府の支援を現場へ届けられるか

首相は、10年前の地震や度重なる水害など、繰り返し災害に見舞われてきた地域の状況を踏まえ、「できることは、すべてやる」と述べ、政府の総力を挙げて対応する考えを示した。

避難所の衛生環境、入浴、水、医療、住まいの確保。いずれも、災害関連死を防ぐために欠かせない支援である。

発生から2週間を迎えるこの時期、政府の指示が現場で確実に実行されるかどうかが問われている。被災地での今後数週間の対応が、災害関連死をどこまで防げるかを左右することになる。