ネパール大洪水 160人死亡・800人超不明 邦人5人も連絡つかず

2026/08/27
更新: 2026/08/27

ネパールとチベットの国境地帯で26日、洪水と土石流が突然発生し、甚大な被害が出た。現場を目撃したヘリコプターのパイロットによると、波の高さは最大6メートルに達した。死者は少なくとも160人に上り、800人以上が行方不明となっている。洪水は村を押し流し、道路やインフラにも深刻な被害をもたらした。

行方不明となっている観光客には、インド、ネパール、米、英、韓国、マレーシア、南アフリカ、オーストラリア、ウクライナ、オランダなどの国籍者が含まれている。

死者・行方不明者が増加

洪水は26日、ネパールの首都カトマンズ北部にあるラスワ地域を襲った。初期情報によると、地震で雪崩が発生し、大量の雪解け水がボテコシ川に流れ込んだことが洪水の原因とされている。

ネパール軍によると、現在は国境の両側で捜索・救助活動が進められており、これまでに88人が救助された。

チベット側でも洪水被害が発生している。中国共産党(中共)の官製メディアは、多数の死傷者が出る恐れがあると警告した。土石流はチベット自治区を襲い、吉隆口岸に深刻な被害を与えた。

吉隆口岸は中国とネパールを結ぶ重要な陸路の国境検問所で、中・ネパール貿易の拠点として整備されてきた。中共は同口岸を「一帯一路」の重要拠点と位置付けている。

8月26日、中国のSNSに投稿された監視カメラ映像には、吉隆が鉄砲水に襲われる様子が映っている。AFPは衛星画像やストリートビューの資料を使い、映像の撮影場所を確認した。その後、これらの映像は中国のSNSから削除された。写真は動画の一場面。(UNKNOWN / AFP)

災害による死者と行方不明者は増え続けている。ネパール警察によると、少なくとも157人が死亡し、579人の観光客が行方不明となっている。一方、中共中央テレビは、吉隆県で発生した土砂災害により3人が死亡し、265人が行方不明になったと報じた。

ロイターがXに投稿した映像には、ネパールやチベット自治区吉隆を鉄砲水が襲う様子が収められている。建物や人が一瞬で濁流にのみ込まれる光景も映っていた。

チベットからネパールへ流れ込むボテコシ川の下流域では、複数の地域が厳戒態勢に入っている。道路、通信、電力供給にも影響が出ており、当局によると、カトマンズにつながる主要幹線道路は閉鎖された。

各国首脳らが相次ぎ支援表明

高市早苗首相は27日、Xでネパールの大規模洪水について見舞いの意を表した。現地メディアが日本人5人の行方不明を報じており、在ネパール日本大使館は5人と連絡が取れないため、現地当局に捜索を依頼したという。

高市氏は安否に関する情報提供を呼びかけた。また、中国側の被害についても「大変心を痛めています」と投稿し、犠牲者への哀悼と被災者への見舞いの意を示した。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長はXで、ヨーロッパは支援を動員する準備が整っていると表明した。

また、EUの地球観測プログラム「コペルニクス」を活用し、ネパールの被災地域の地図作成や現地の救助活動を支援していると明らかにした。

国連のグテーレス事務総長は、犠牲者の遺族に哀悼の意を示すとともに、被災者への連帯を表明した。国連の各チームや人道支援団体が物資と人員を動員し、被災地域への支援にあたっているという。

ルビオ米国務長官はXに、「壊滅的な洪水に見舞われたネパールの人々に連帯を表明し、ともに祈る」と投稿した。

さらに、「米国務省は、ネパール政府に必要な人道支援を提供する用意がある」とした。

インドのモディ首相は、ネパールのシャハ首相に哀悼の意を伝え、ネパールに人道支援を提供する用意があると表明した。

モディ氏はXに「われわれのチームは、救助・救援活動について緊密に連携している」と投稿した。

このほか、カナダ、オーストラリア、イギリスなどの首脳も被災地に哀悼の意を示し、支援する用意があると表明している。

ヘリ操縦士「高さ5~6メートルの濁流を目撃」

ヘリコプターのパイロット、アマン・ブダトキ氏は、上空からこの大規模な洪水を目撃し、濁流の高さは「5~6メートルあった」と証言した。

ブダトキ氏はCNNに、「着陸する5分ほど前、川の上に土ぼこりが舞い上がっているのが見えた」と語った。

「最初は土砂崩れのように見えた。軍が道路工事のために爆薬を使っているのではないかとさえ思った」

しかし数秒後、大量のがれきを巻き込んだ黒っぽい濁流が勢いよく流れ下り、澄んだ川の水と混ざる様子を目撃した。

「高さ5~6メートルほどの水の壁が見えた。地元の村の上空を旋回し始めると、大木や数台の車が洪水に流されていくのが見えた」

ブダトキ氏は「非常に恐ろしい光景だった。被害状況を確認するため、一時は濁流に沿って飛行した」と振り返った。

最後に、「これほど激しい自然の猛威を目にしたことはない」と語った。

中国人実業家のネパール人従業員と連絡取れず

カトマンズ在住の中国人実業家Yee Liang氏はBBCに、自身が経営する物流会社のコンテナトラック7台が被災地域にあり、それぞれにネパール人従業員が乗っていたと明らかにした。

「全員と連絡が取れなくなっている。現地では通信が途絶えているため、誰とも連絡できない」と語った。

さらに、「私の知る限り、災害発生前に警報は出ていなかった。現地では特に雨季に土石流や地滑りが時折起きるが、今回ははるかに深刻な状況のようだ」と述べた。

張婷