トランプ米大統領は9月18日、デンマークとグリーンランドとの安全保障協定に合意したと発表した。協定はアメリカに恒久的な立ち入り、基地利用、領空通過の権利を認め、NATO非加盟国による基地設置や部隊駐留を禁じる。北極圏で影響力を強める中国・ロシアを念頭に、アメリカ軍の展開拡大とNATOの抑止態勢強化を図る。
アメリカ政府当局者によると、協定では、アメリカにグリーンランドへの恒久的な立ち入り権、現地の基地の利用権、領空通過権を認めるという。また、北大西洋条約機構(NATO)に加盟していない国が、グリーンランドに基地を設置したり、部隊を駐留させたりすることを明確に禁じる。アメリカ、デンマーク、グリーンランドの3者は来週、国連総会に合わせて正式に署名する見通しである。
協定には、中国やロシアがグリーンランドで軍事面や戦略面で影響力を拡大するのを抑え、北極圏と北大西洋地域でのNATOの安全保障態勢を強化する狙いがある。
米国に恒久的な立ち入り・基地利用・領空通過権
トランプ氏は9月18日(金)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「この協定は、グリーンランドの安全保障などについて、アメリカに恒久的な統制権を与えるものだ。アメリカが抱いてきた多くの懸念を完全に解消する」と投稿した。
さらに、「私の指示の下、われわれはデンマークとグリーンランドの代表者と協力し、グリーンランドとアメリカの安全を確保するため、アメリカが今後もグリーンランドで必要な行動を取れるよう、必要な枠組みを整えてきた」と記した。
トランプ氏は、アメリカがグリーンランドの適切な地域に「大規模な軍事的プレゼンス」を「直ちに」構築すると表明した。その上で、アメリカが書面で明確に承認しないかぎり、「アメリカのいかなる敵対勢力」も、現地に基地を設置したり、軍事拠点を維持したり、重要分野に投資したりすることは認めないとした。
この取り決めを「無期限協定(Infinite Life Agreement)」と呼び、「これはアメリカにとって夢の実現だ」と強調した。
また、「デンマークとグリーンランドの素晴らしい人々と協力し、この広大で極めて戦略的に重要な土地に、輝かしい未来を築いていくことを楽しみにしている」と述べた。
NATO非加盟国の基地設置を禁止 中国・ロシアを牽制
その後、アメリカ国務省当局者はロイター通信に対し、この協定により、アメリカは恒久的な立ち入り権、基地利用権、領空通過権を得ると説明した。また、NATOに加盟していない国がグリーンランドに基地を設置することも禁じられるという。これらの取り決めは、将来、グリーンランドが独立した場合も引き続き適用されるとしている。
グリーンランドは北極圏と北大西洋の間にあり、地政学的に重要な位置にある。ロシアは長年、北極圏での軍事展開を拡大しており、中国も近年、この地域での活動や影響力を強めている。こうした動きを受け、アメリカは北極圏の安全保障を一層重視している。
デンマーク 主権とグリーンランドの自決権を強調
デンマーク政府は、この協定について、共同の安全保障を強化するとともに、主権を尊重するものだと説明している。
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、3者がまもなく「グリーンランド、デンマーク王国、アメリカのいずれにとっても有益な」協定に合意することを歓迎すると述べた。
同首相は、この取り決めについて「北極圏と北大西洋地域での共通の安全保障を強化するもので、NATOとヨーロッパにとっても大きな利益となる」と述べた。その上で、「デンマーク王国の主権と領土の一体性、それにグリーンランドの人々の自決権を認めるものだ」と強調した。
グリーンランド自治政府のイェンス=フレデリック・ニールセン首相も、協定はグリーンランド固有の利益と、国際協力における立場を認めるものだと述べ、「これはわれわれ全員にとって有益だ」との考えを示した。
来週の正式署名へ 発効には議会手続きが必要
デンマーク首相府によると、アメリカ、デンマーク、グリーンランドは来週、国連総会に合わせて協定に正式に署名する見通しである。署名後、協定を発効させるには、各国で必要な議会手続きを終えなければならない。協定の正式な文書は、現時点では公表されていない。
アメリカはすでに、1951年にデンマークと結んだ防衛協定に基づき、グリーンランドで幅広い軍事活動を行う権利と基地利用権を持っており、島の北西部に宇宙軍基地を置いている。これまでに明らかになった内容によると、新たな協定は、アメリカの長期的な安全保障上の権限をさらに明確にするとともに、NATOに加盟していない国による軍事面での関与や重要分野への投資を制限するものとなる。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。