重要鉱物で「脱中国」加速 米国 国内投資と20か国超との連携加速

2026/09/30
更新: 2026/09/30

米メディアによると、米トランプ政権は数十億ドルを投じ、政府を挙げて中国による重要鉱物資源の独占からの脱却を目指す取り組みを進めている。中国に依存しない重要鉱物のサプライチェーンの構築に向けた動きで、すでに一定の成果が表れ始めている。

政府挙げて対中依存脱却

米紙ウォールストリート・ジャーナルは9月27日、昨年4月に中国共産党政権が重要なレアアース(希土類元素)の輸出規制を導入したことを受け、米国で中国に依存しないサプライチェーンの構築に向けた取り組みが一気に加速したと報じた。

米国の鉱物資源自立に向けた取り組みには、国防総省、エネルギー省、国務省、商務省、内務省のほか、新設された複数の機関と2つの政府系銀行が関与している。大半の取り組みは、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)が調整しているという。

現職・元政府高官や鉱業専門家によると、これはトランプ第2次政権が重要なサプライチェーンを米国内に回帰させるために進める取り組みの中でも、最も包括的かつ長期的で、対象を絞った政策の一つだという。中国の輸出規制に米製造業者から不満が相次ぐなか、トランプ政権はほぼ直ちに国内の鉱物資源開発事業への資金投入を開始した。

投資額は過去を大きく上回る

ホワイトハウス当局者によると、トランプ氏が2期目の大統領に就任して以降、政権は重要鉱物に関連する180件超の事業を進めてきた。各事業は、資金提供を受けるためにデューデリジェンス(適正評価)や関連条件を満たす必要がある。

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の分析によると、今年6月までの18か月間に、米政府によるレアアースや磁石関連事業への非株式投資は76億ドル(約1兆1千億円)に達した。2020〜24年の投資総額の4倍を超える規模だ。

20か国超と協定

中国の輸出規制を受けた他国も、中国の独占を弱めるための措置を講じている。業界専門家によると、世界のサプライチェーンを再構築する動きの中で、米国の取り組みは特に目立っている。米国はこれまでに20か国以上と鉱物資源の開発に関する協定を締結した。

重要なパートナーの一つが豪州だ。米豪両国は昨年10月、「重要鉱物・レアアース供給安全保障枠組み」に署名。両国がそれぞれ6か月以内に少なくとも10億ドルを融資し、両国内の関連事業を支援するとともに、緊急時の迅速な対応体制を設けることで合意した。

同月、米国は日本とともに「採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアースの供給確保のための日米枠組み」に署名。マレーシア、タイとは「重要鉱物協力に関する覚書」などを締結した。

さらに、米国務省が主導する新たな「パックス・シリカ(Pax Silica)」構想では、ギリシャやイスラエルなど同盟国と米国との間で鉱物資源の生産を連携させることを目指している。

「2030年までにサプライチェーンを完結」

専門家は、重要鉱物分野における中国の独占から脱却するには、少なくとも10年にわたる取り組みが必要とみている。

一方、米国防総省の一部当局者は、2030年までに米国と同盟国が一部の鉱物資源について、採掘から加工、製造までを含む「閉ループ」のサプライチェーンを構築することを目標に掲げている。

国防総省の報道官は具体的な取引についてコメントを控えた上で、「国家安全保障に不可欠な鉱物について、川上から川下までのサプライチェーンを確保することが最優先課題だ」としている。

米通商代表部のリック・スウィッツァー副代表は今年4月、米国が緊急に必要とする場合、日本や欧州の支援を得れば、6~12か月で中国に依存しない重要鉱物の一貫したサプライチェーンを構築できるとの見方を示している。

中国の市場シェア低下予測

ロンドンに本拠を置く商品市場データ会社CRUの最新予測によると、今世紀末までに、中国の市場シェアは、特に輸出規制の対象となっている多くの元素・鉱物分野で低下する見通しだ。

重要鉱物は、国防、輸送、エネルギー、コンピューターシステムなどの製造に不可欠で、人工知能(AI)や兵器開発の基盤ともなっている。

米国は1990年代半ばまで、世界有数のレアアース生産国だった。しかし、その後30〜35年の間に、こうした産業基盤を失った。

米商務省によると、同省が追跡する44種類の重要鉱物のうち、中国は30種類で世界最大の生産国となっている。

易凡