ドイツの高級スポーツカーメーカー、ポルシェは10月27日、今年1~9月の売上高と世界の納車台数がともに減少したものの、営業利益は前年同期から大幅に改善したと発表した。事業のスリム化や中国市場への依存度引き下げを進める戦略の成果が、表れ始めたとみられる。
フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下のポルシェが27日に発表した決算によると、今年1~9月の売上高は前年同期比5.9%減の252億8千万ユーロ、世界の納車台数は16%減の17万8532台だった。
一方、営業利益は17億4千万ユーロに増加し、営業利益率は6.9%となった。前年同期は営業利益がわずか4千万ユーロ、営業利益率は0.2%だった。前年は電動化戦略の見直しに伴う費用が大幅に膨らみ、業績を圧迫していた。
近年、中国ではBYD、吉利汽車(ジーリー)、シャオミなどとの競争が激化し、ポルシェの販売台数は大きく落ち込んでいる。現在、販売台数で最大の市場は北米となっている。
ポルシェのヨッヘン・ブレックナー最高財務責任者(CFO)は27日のオンライン決算説明会で、「販売先が世界各地に分散していることが、各市場の変動による影響を抑えるうえで、引き続き役立っている」と述べた。
また、中国市場への依存度を大幅に引き下げたことで、厳しい状況が続く同市場が事業全体に及ぼす影響を抑えられるようになったと説明した。
ポルシェのマイケル・ライターズ最高経営責任者(CEO)は今年初めに就任した。これに先立ち、同社は電動化戦略が想定通りに進まず、27億ユーロの事業再編費用が発生していた。こうした状況を受け、監査役会は経営の立て直しを図るため、ライターズ氏を新CEOに起用した。
ライターズ氏は10月初め、投資家向けに今後の経営戦略を詳しく説明した。顧客の要望に応じたカスタマイズサービスを拡充するとともに、利益率の高い限定モデルや特別仕様車を増やす方針だ。
これにより事業規模は縮小するものの、収益性の向上を見込んでいる。
実際、利益率の高い主力スポーツカー「911」の販売台数は前年同期比12%増加した。今年1~9月に販売台数が増えたのは、ポルシェの車種の中で911だけだった。911の販売増は、利益率の高い車種を重視する同社にとって明るい材料となっている。
ライターズ氏は「私たちは戦略転換を急ピッチで進めている。中核事業への集中、競争力のあるコスト構造の構築、そして収益性の持続的な向上に重点を置いている」と述べた。
さらに、「すでに実施したさまざまな施策を通じて、ポルシェの長期的な発展に向けた基盤を築いている。より強固で、事業を絞り込み、収益性の高い企業を目指す」と強調した。
米金融大手シティ(Citi)のアナリストは27日に発表したリポートで、中国市場を含む厳しい事業環境が続くなかでも、ポルシェの今年1~9月の業績は市場予想に沿ったものだったと評価した。
アナリストらは「納車台数の大幅な減少やコスト上昇、EVの納車台数増加といった課題に直面しながらも、ポルシェの利払い・税引き前利益は底堅く、ドイツの他の高級車メーカーを上回る収益力を示した」と指摘した。
また、ポルシェが営業利益率を再び10%以上に引き上げる計画を示していることにも言及した。
同社の業績は2028年から回復に向かい、2031年までには純キャッシュフローが新規株式公開(IPO)時の水準を上回ると見込んでいる。
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