ファーウェイ、半導体の自社開発が困難に 英アームの取引停止で

2019/05/25
更新: 2019/05/25

米政府の中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)に対する輸出禁止措置を受け、サプライヤー各社は相次ぎ、同社との取引停止を発表した。中でも、英半導体設計大手アーム・ホールディングス(以下、アーム)の取引停止による同社のスマホ事業への打撃が最も深刻だとみられる。

アームは22日、同社の技術の中に「米国由来の技術が含まれている」とし、「米政府の規制を順守する」と声明を発表した。

ブルームバーグは同日、関係者の話として、モバイル機器用の低電力半導体の設計で、主に使用されているアームの一部IP(知的財産)は米国で開発されているため、米国の半導体企業と同様にファーウェイに対する規制が適用される、と報じた。

アームは1990年に創業。2016年にソフトバンクの傘下に入った。同社は、技術を知的財産権として、米クアルコム、韓国サムスン電子、台湾メディアテックなど各国の半導体メーカーにライセンスを供与している。また、現在世界各地で販売されているスマホ、フィーチャーフォン、タブレットなどのすべての通信端末に、アーム・アーキテクチャを採用した中央演算処理装置(CPU)が使われている。

英BBCや米誌フォーブスなどは、ファーウェイにとって、アームの技術供給停止がもたらす影響は、グーグルが基本ソフト(OS)の提供を停止したことよりも「深刻」で、「越えられない壁だ」と指摘した。

中国メディア「捜狐網」22日付によると、ファーウェイの半導体開発を担う子会社・海思半導体(ハイシリコン)も、アームからライセンス供与を受けて、スマホに使う中核半導体「キリン」の設計・開発を行っている。

同報道は、アームの決定はファーウェイに強い打撃を与えると指摘した。

「ファーウェイはアームからの許可がなければ、自主開発した半導体を販売することは不可能であるのに、今、アームが取引停止を発表した。特別な関連許可がないと、ファーウェイは引き続きアームの技術を採用できなくなり、ハイシリコンも自社開発のCPUである『キリン』の製造ができなくなる可能性がある」

「アームの設計がなければ、ファーウェイは完璧なスマホを製造できない」

「捜狐網」によれば、ファーウェイは最近メディアに対して、米企業から調達した部品の在庫を3カ月から1年に拡大したとしたが、今後は「自社開発の半導体で対応する」と示した。

米政府の禁輸措置発表後、米国のクアルコム、インテル、ブロードコム、グーグル、英ボーダフォン、独インフィニオン、日本の東芝などの各社は、ファーウェイへの部品やサービスの提供中止を発表した。

(翻訳編集・張哲)

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