「夜中に引きずり出された」 五輪選手が語る恐怖の隔離体験

2022/02/07
更新: 2022/02/07

「食事がひどい」「トレーニングできない」「ネットも使えない」「隔離の手順が混乱していて不透明」

2022北京冬季五輪期間中、選手村の食事や中共ウイルス(新型コロナ)の検査で陽性反応を示した選手の隔離生活について、各国から苦情が寄せられている。

フィンランドコーチ「中国は選手の人権を尊重していない」

フィンランド男子アイスホッケーのヘッドコーチJukka Jalonen氏は6日、「中国は選手の人権を尊重していない」と糾弾した。

ロイター通信によると、同コーチは、「同国のプロホッケー選手Marko Anttilaが良い食事を与えられていないうえ、大きな精神的ストレスを受けている」と訴えたという。

Anttila選手は2週間以上前にPCR検査で陽性判定が出たが、「もう感染力はない」とチームドクターが判断するも、中国側による隔離は依然として続いている。

「われわれは彼が完全に健康で、(プレーする)準備もできていることを知っている。しかし、中国側は彼をまだ隔離している。彼の人権は尊重されていない。これは非常に悪い状況だ」と同コーチはメディアのビデオ取材で語った。

「夜中に引きずり出された」ポーランド選手が経験した 恐怖の物語

「1月30日に陽性反応が出た後、北京五輪での経験は恐怖の物語になった」

ショートトラックのポーランド代表のナタリア・マリシェフスカ(Natalia Maliszewska)選手が自身のツイートに投稿した。

「2月5日の午前3時、彼らは隔離中の私を引っ張り出した。あの夜は本当に恐ろしかった」

その後、また誰かに連れて行かれるのを恐れて、服を着たまま寝ていたという。「私は誰かに見られるのが怖くて、カーテン越しに片目だけで覗いていた」と怯えながら生活している様子を語った。

その数時間後、マリシェフスカ選手は「試合への準備ができた」と投稿したが、直後に「突然、私を隔離部屋から出すのは間違いだったという知らせが来た!何と言ったらいいのか…私は一刻も早く選手村に戻らなければならないのに」と書き込み、窮状を訴えた。

ロシア選手「食事で差別待遇

ロシアのバイアスロン女子のワレリア・ワスネトコワ(Valeria Vasnetsova)選手も隔離期間中に、「お腹は痛いし、顔色も悪い。目の下には深いクマができた。全て早く終わってほしい。毎日泣いている、本当に疲れた」と自身のインスタグラムで不満を漏らした。

彼女は提供された食事の画像を添付し、「味付けされていないパスタやソース、焦げた肉の骨、そしてジャガイモ、野菜は一切ない」「もう5日間連続で朝昼晩と、この調子だ」「体重が大幅に減り、骨まで浮き出ている」と投稿した。

いっぽう、ロシアのチームドクターには、新鮮なフルーツやサラダ、エビ、カリフラワーなどが提供されたという。

「なぜ私たち選手に対して差別待遇するのか?まったく理解できない」と綴った。

批判噴出

北京到着後に救急車で隔離施設へ運ばれたスウェーデン人ジャーナリストのPhilip Gadd氏は、「骨が浮き出るほどお腹が減った」と自身が経験した混乱と恐怖について振り返った。

平昌冬季五輪金メダリストで、韓国スケルトン男子のユン・ソンビン選手は、選手村の食事について「最悪」と訴えた。

今大会では選手や関係者を外部と完全に切り離して接触させない「バブル方式」が実施されている。

バブル内の選手、関係者は毎日PCR検査を受け、陽性反応が出れば直ちに隔離される。無症状の場合でも、24時間以上の間隔を空けて2回のPCR検査で陰性を確認できなければ、バブル内に戻ることができない。

1月23日以降、数十人の選手を含む350人の五輪参加者が、北京到着後に陽性判定を受けている。

日本代表団でスキーの選手1人に陽性判定が出たことが2日、明らかになった。症状はないという。

国際オリンピック委員会(IOC)のクリストフ・デュビ五輪統括部長は選手らの訴えを受け、「われわれに問題を解決する義務と責任がある」とし、隔離環境を改善していく姿勢を示した。

(翻訳編集・李凌)

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