中共 張又俠の核機密漏洩関与を否定 何を意味するのか

2026/01/31
更新: 2026/01/31

張又俠・中央軍事委員会副主席が米国に核機密を漏洩した疑いで調査を受けているとする米メディアの報道をめぐり、中国共産党国防部は1月29日、これを否定した。分析では、中国共産党(中共)指導部は当初、張又俠に「反逆」の罪を着せ、政治的粛清の正当性を演出しようとしたが、海外で信憑性を失い、方針転換を余儀なくされたとの見方が出ている。

張又俠の失脚を受け、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは1月25日、中共内部関係者の話として、張又俠が米国に中国の核兵器計画を漏洩したほか、賄賂を受け取り、李尚福・前国防部長を昇進させた問題などに関与していたと報じた。ただ、この情報は意図的なリークではないかとして、広く疑問視されている。

時事評論員の横河氏は、中央軍事委員会副主席という地位にある人物の資産規模に言及し、過去に摘発された同職の人物はいずれも莫大な富を有していたと指摘した上で、張又俠が金銭目的で機密を売る動機は考えにくいと分析した。また、すでに最高位の一角にある立場から、さらに名誉や地位を得るために他国に与する理由はないと述べた。

1月29日の国防部定例記者会見で、外国メディア記者が関連する噂について質問したのに対し、報道官の蔣斌氏は、公式発表を基準にすべきであり「憶測を控えるように」と述べた。

この発言について、外部では事実上「張又俠が米国に機密を漏洩した」との説を否定したものと広く受け止められた。

在米時事評論員の邢天行氏は、海外では一般市民や米国、他国のシンクタンク関係者の多くが、この核機密漏洩説を信じていないと指摘した。張又俠は紅二代の出自で高位にあり、核機密を売る合理的な動機が見当たらないとし、そうした主張は「滑稽だ」と述べた。

邢天行氏はまた、国防部が否定に踏み切った背景について、習近平指導部が張又俠拘束に自信を欠いているため、洩密や通敵、叛国といったレッテルを貼り、国内向けに正当性を演出しようとしたが、その試みが海外で失敗したと分析した。

邢天行氏は、こうした情報操作は「世論の反応を見る試み」だったが「核機密売却」という話が海外で完全に否定され、むしろ党内リークによる政治的中傷だと受け止められたと語った。

張又俠は、実戦経験を持つ数少ない中国共産党軍将領の一人で、父親は中共建国時の上将・張宗遜氏。習近平一家とは旧知の関係にある。習近平は2017年の第19回党大会で張又俠を政治局員兼中央軍事委員会副主席に抜擢し、2022年の第20回党大会でも72歳という高齢で異例の続投を認めた。

前中央党校教授の蔡霞氏は、SNS上で、習近平が張又俠と劉振立を拘束した行為は党規・党法に反し、正当性を欠くと指摘した。国防部の公式発表や軍報の社説を除き、党・軍全体が沈黙を保っている現状について「この沈黙自体が態度表明だ」と述べた。

軍機関紙は1月24日、張又俠と劉振立が「軍委主席責任制を深刻に踏みにじった」と批判したが、これまでに軍指導部の誰一人として「中央の決定を支持する」と公に表明しておらず、極めて異例の事態とされている。

米サウスカロライナ大学エイケン・ビジネススクールの謝田教授は、事態はまだ決着していないとした上で、中共上層部に激しく、時に死活的な内部対立が存在することが国内外に明らかになったと指摘した。習近平の軍掌握力は以前ほど強くなく、軍内部の反対勢力も無視できないとし、今後さらに激しい内紛や体制の動揺が進む可能性があると述べた。

複数の情報筋によると、習近平は2024年時点ですでに権力を大きく失い、張又俠が一部の元老と連携して実質的な牽制を行っていたという。今回、習近平は形勢を逆転させたものの、かえって自らをより危険な立場に置いたとの見方が出ている。

大紀元のコラムニスト、王赫氏は、張又俠事件の衝撃は大きく、習近平の手法は人心を服させるものではないと指摘した。習近平が政権発足から10年以上で左傾化を強め、軍を含む多くの層に不満が蓄積しているとし、表面上は沈黙していても、内心では反発が強まっていると述べた。中国社会は「地下でマグマが流動している状態」で、噴出の時を待っていると語った。

習近平は最初の10年間で、郭伯雄、徐才厚両元中央軍事委員会副主席を含む160人以上の将軍を摘発した。2022年以降も、軍委副主席2人、委員3人、国防部長2人を含む133人の将軍が調査対象となり、さらに数千人規模の将校が摘発、または行方不明となっている。

中共軍に近い複数の関係者は、張又俠と劉振立の失脚後、中央軍事委員会の指揮機能が失われ、軍への指示が抵抗を受けていると明らかにした。軍令が形骸化する中、習近平は近年で最も深刻な軍内部の危機に直面しているという。