中国共産党政府は国際秩序を揺るがすため国連機関への支配を強めようとしていると専門家は指摘する。
中国共産党(中共)政府はWHOの最大拠出国となることで絶対的な影響力を確保しようとしており、専門家はこの動きが世界的な感染症管理体制を崩壊させ、新たな健康危機を引き起こす可能性があると警告している。
中国国営通信の新華社は1月26日、中国がWHOへの継続的な支援を約束したと報じた。これはワシントンが同機関からの脱退手続きを完了させた数日後だった。中共政府はまた、新型コロナウイルス感染症初期の対応を巡る米国の批判を「根拠がない」と退け、中共政府の対策は「透明で責任あるものだった」と主張した。
一方、米保健福祉省は、中国が新型コロナに関する情報を抑制し、人から人への感染確認を遅らせた証拠を指摘した。同省はさらに、WHOが無症状感染のリスクを軽視し、空気感染の可能性を速やかに認めなかったと述べた。
WHOへの深まる統制
WHOのデータによると、1月11日時点で新型コロナは世界で710万人の命を奪い、そのうち120万人は米国で発生した。ただし、中共当局が過去に感染状況を過少報告し情報を隠してきた経緯を踏まえると、実際の規模を把握することは困難だ。
中国の元外交官である陳用林氏は、北京の今回の支援表明は、これまでWHO予算の約18%を拠出してきた最大拠出国の米国の脱退によって生じた空白を利用し、中国が最大の資金提供国となって包括的な支配力を得る意図を示すものだと述べた。陳氏は「中国は昨年、今後5年間で追加5億ドルをWHOに拠出すると発表しており、この資金を使って主導権を握り、新型コロナ起源に関するWHOの調査を阻止しようとしている」と語った。
陳用林氏は、新興病原体の起源に関する科学諮問グループによる調査は、中共当局が必要な具体的データの提出を拒否しているため、すでに機能停止に陥っており、中国共産党が主導権を握ればこの行き詰まりは恒久化すると述べた。陳氏は「現在の調査はここで止まり、さらなる起源追跡は不可能になる」と指摘した。

台湾・国立中央大学客家語文および社会科学系の曾建元客員准教授は、WHOが運営を維持するために中国共産党からの資金に依存せざるを得ない状況に陥るリスクがあると警告した。曾氏は「十分な資金がなければ、WHOは大幅な予算削減に直面し、業務や研究、国際連携に深刻な影響が及ぶ。中共政府はこれを利用してWHOへの影響力を一層強める」と述べた。
世界秩序の転覆
陳用林氏は、WHOにとどまらず、中共政府が昨年の米国脱退後、国連人権理事会に対する影響力を強めようとしていると指摘した。

陳氏は「中共政府は国際機関を体系的に掌握しようとしており、説明責任の仕組みを弱め、政権への外交的圧力を大幅に低下させることになる」と述べた。
ヒューストンのセント・トーマス大学で国際研究を教える葉耀元教授は、北京がこれらの機関を取り込むことで、西側に対抗できる権威主義ブロックを構築しようとしていると述べた。葉氏は「これにより、中共政府は国際秩序を再編し、ワシントンに直接挑戦できる」と語った。
曾建元氏は、米国は当初、こうした国際機関が中共政府を取り込み制約すると期待していたが、中共政府は国連安全保障理事会の拒否権を利用し、自由主義陣営に対するイデオロギー戦を展開してきたと述べた。曾氏は中共政府は伝統的な共産主義や社会主義の理念から逸脱しているが、資本主義を覆そうとする動機は変わっていない。大小さまざまな国際機関を掌握することが、既存の枠組みを崩す最も容易な方法だと述べた。
台湾封鎖
米国の脱退は台湾でも注目され、台湾衛生福利部は米国が世界の公衆衛生に果たしてきた重要な役割を認めたと台湾中央通信社が1月29日に報じた。台湾政府は重要な支援を失ったにもかかわらず、WHOの最高意思決定機関である世界保健総会(WHA)へのオブザーバー参加を引き続き目指す姿勢を示した。

台湾は、生活の質を示す指標を追跡するオンラインデータベースNumbeoの年次調査で、8年連続で医療指数1位にランクされた。台湾は1972年以降WHAから排除されているが、新型コロナ流行初期にはWHOに警告を発していた。台湾は2009年から2016年まで、国民党政権下で中共政府との関係が緩和した時期に、交渉を通じて一時的にオブザーバー資格を得ていた。
陳用林氏は、中共政府がWHOを事実上独占しようとしている現状では、台湾の希望は事実上閉ざされており、これまで行われてきた非公式の技術交流さえも完全に断たれると述べた。陳氏は「この状況下でWHAが台湾を再びオブザーバーとして招く可能性は極めて低く、中共政府は優位な立場を利用して台湾を完全に排除する」と述べた。
葉耀元教授は、影響は直接的な排除にとどまらないと指摘した。葉氏は、米国の影響力が失われたことで、台湾の外交的同盟国が中国の圧力に対抗して声を上げにくくなり、台湾を擁護する声がさらに減少すると述べた。葉氏は「WHOの将来の有効性には疑問が残るが、多くの加盟国は中国の圧力を恐れて台湾を支持できない」と述べた。
曾建元氏は、中共政府が台湾を孤立させ、米国が後退した現状では、台湾政府は成果の見込めない努力に外交資源を費やすのをやめ、WHO参加運動を見直すべきだと提案した。曾氏は「新型コロナはWHOが世界の健康を守れなかったことを示しており、台湾がWHOから排除されていたことこそが台湾の感染対策成功の理由だ」と述べた。曾氏は「台湾は米国や公衆衛生能力の高い国々と連携すべきだ」と述べた。
陳用林氏は、WHOが中共政府に配慮してきたことがすでに新型コロナの惨事を招いたと警告し、中国共産党政権が同機関を完全に掌握すれば、次の世界的なパンデミックは避けられないと述べた。

陳用林氏は「中国による浸透はWHOの技術能力と権威を損ない、疾病監視能力を弱める。感染症調査が中国の利益に触れれば、中国当局は隠蔽し、新たな疾病が出現した際に事態をさらに複雑にする」と述べた。陳氏は、もし新型コロナ規模の危機が再び起きれば、政治的に掌握されたWHOは「はるかに多くの犠牲者とより深刻な世界的拡大」を招く可能性があると指摘した。
曾建元氏は、将来の脅威をWHOが抑え込むことを期待するのは「希望的観測」に過ぎないと述べ、とりわけ中国発の病原体に対しては国際社会が代替の安全網を構築すべきだと訴えた。曾氏は「先進民主国家は影響力を受けた機関を迂回し、透明で独立した疾病監視ネットワークを構築しなければ、世界は次の感染症に対して無防備なままとなる」と述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。