中共軍トップ層一掃 海外専門家が指摘する「大粛清」後の衝撃波

2026/02/02
更新: 2026/02/02

中国共産党(中共)軍は世界最大の規模を誇る軍隊だが、この巨大組織の最高幹部たちが、わずか3年の間に壊滅的な大粛清に遭った。特に、軍事委員会で序列1位の副主席である張又侠、および中央軍事委員会統合参謀部参謀長の劉振立が突如として失脚したことは、国内外に衝撃を与え、海外メディアや政治・軍事専門家たちの間で多くの議論を呼んでいる。

フランスの紙面『ル・モンド』(1月31日付)は、中共軍内部で13年間にわたり継続されてきた、いわゆる「反腐敗」運動の末に、再び中央軍事委員会の張又侠や劉振立が反腐敗の名目で拘束されたことに対し、大きな驚きを表明した。記事は、特に今期の中央軍事委員会のほぼ全ての最高幹部が直近3年で「粛清」された状況について、「いかなる軍事アナリストも困惑を隠せない」と伝えている。

同紙は、2025年だけで98.3万人の中国官員が規律処分を受けており、これが統計公表以来の最高記録を更新したことに言及した。外部の人間は、絶え間なく続く中国官員の失脚に「もはや慣れっこ」になっているはずだという。しかし、そうした状況下でも張又侠の失脚は「地震に匹敵する衝撃」であった。長年CIAで中国事務分析を担当してきたジョージタウン大学のデニス・ワイルダー教授も、「これは習近平政権発足以来、中国政治において最も衝撃的な出来事だ」と述べている。

記事が挙げる主な疑問点は以下の通りである。

第一に、習近平が2027年までに台湾侵攻能力を備えるよう軍に要求している中で、実戦経験を持つ張又侠を含む、軍を指導すべき高官たちがほぼ全員粛清されたこと。

第二に、13年に及ぶ粛清を経てもなお、「なぜ依然として腐敗や政治的不忠誠が存在するのか」という点である。

『ル・モンド』紙は、中国共産党や軍の調査体制は完全な「ブラックボックス」であり、その内部の人間でもない限り、今回のような「大粛清」がなぜ行われたのか、その真の理由を正確に知る術はないだろうと締めくくっている。

実戦経験を持つ「紅二代」の失脚

現在75歳の張又侠は、中国軍において数少ない実戦経験を持つ高官の一人であり、習近平と同様に「紅二代(革命幹部の子弟)」に属する。習近平の政権初期における軍内反対勢力の排除において、張又侠は大きな助けとなったため、長年、軍における習近平の親密な盟友と見なされてきた。

かつてペンタゴン(米国防総省)で対中防衛政策や軍事交流を担当していたドリュー・トンプソン氏は、2012年に張又侠率いる代表団を応接した際の印象を回想している。トンプソン氏は張を、他の将官よりも「開放的で能力が際立っていた」と形容し、現役将官の中で「習近平に対し、人民解放軍の弱点や武力衝突による人的コストを含めた客観的な評価を提供できる、最も有能な人物だった」と評している。

粛清の背景と今後の影響

近年の軍上層部の一掃については、様々な推測がなされている。台湾「パシフィック・フォーラム」の研究員トリスタン・タン氏は、張又侠が台湾への軍事侵攻に向けた準備の進め方を巡り、習近平と意見を違えていた可能性を指摘する。張は軍の構造的弱点の解決を優先すべきだと考えたのに対し、習は2027年というタイムリミットに重点を置いていたという見方だ。

台湾の政治大学で開催された座談会において、寇健文特任教授は、今回の粛清は軍の士気を低下させるだけでなく、軍内部や共産党指導部のエリート層の間に、根強い不満を募らせることになると指摘した。

昇進を望む将校にとっては「空きポストが増える」ことになる。

しかし、長年の側近ですら排除される現状を見て、後任者たちは「昇進も早いが、失脚も早い」と悟るだろう。

結果として、習近平は今後「ますます孤立していく」ことになる。

また、同大学の名誉教授である丁樹範氏は、高官がいつでも排除される状況下では、習近平と新しく任命された将校との間に「相互信頼」を築くことが困難になると指摘した。

丁氏は、習近平が「幹部の寝そべり(ボイコット)」状態に直面すると予測している。反腐敗の名目による過度な粛清と相互密告の風潮の中で、自ら新しいアイデアを提案すれば猜疑心を招く恐れがあるため、幹部にとって「寝そべり」こそが最も安全な選択肢となるからだ。

林清