中国の農村で、旧正月の雰囲気が急速に薄れている。本来なら、家族が集まり食卓を囲み、村が一年で最もにぎわう時期であるはずだが、今年は様相が一変した。
多くの村でまず目につくのは、人の少なさである。北部の地域では、大通りに人影がほとんどなく、かつての帰省ラッシュが見る影もないほど静まり返っている。「昔はこの時期、村がいちばんにぎやかだった。今は空っぽだ」と語る住民もいる。
この背景には、出稼ぎ労働者の収入減少と賃金の未払いがある。仕事が見つからず、雇い主から3か月分の給料を受け取れないまま、帰省の費用すらままならない人も少なくない。「金が入ったら帰るつもりだが、いつになるか分からない」と訴える声もある。
中部地域のある村民はこう語る。「去年は肉を20キロ以上買うことができたが、今年は500グラムも買っていない」
市場には商品が並ぶものの、買い手の姿はほとんど見られない。野菜も肉も売れず、露店は閑散としている。
かつて農村では、旧正月の支度に追われる時期になると、蒸し物や揚げ物の準備が始まり、家々から立ち上る湯気が村全体を包んでいた。しかし今年はその時期になっても、そうした光景はほとんど見られなかった。多くの村民が経済的な余裕を失い、正月を迎える気力すら失っているのが現状である。
正月のにぎわいは、単なる年中行事ではない。それは、人々が生きていくための余裕を持てているかどうかを映す鏡である。その鏡がいま、中国の農村では静かに曇り始めている。
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