中国共産党の民族政策と新疆ウイグル自治区の人権状況を巡り、国際シンポジウム「中国の民族区域自治制度とウイグルジェノサイドの実態」が2月25日、衆議院第一議員会館で開催された。日本ウイグル協会が主催し、各国の学者や人権団体関係者が登壇した。
民族区域自治のスローガンと現実の乖離、強制労働に対する施策強化の意義などを中心に議論が行われた。
共催する日本ウイグル議員連盟の古屋圭司会長はウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止する法案の提出を目指し、「世界の共通の価値観である法の支配、民主主義、基本的人権の尊重ということは絶対に譲ることができない。このことをはっきり訴えるということをやらなきゃ駄目だなというのを皮膚感覚で覚えた」と述べた。
2020年以降、新疆ウイグル自治区の収容施設を巡り、強制労働が国際的サプライチェーンと結び付いている実態が明らかとなり、世界に衝撃が広がった。企業がサプライチェーン上の強制労働などの人権侵害を調査・是正する「人権デューデリジェンス(人権DD)」を巡り、欧米では法整備が進んでいる。しかし、国際労働機関(ILO)は2025年2月の報告書で、強制労働が拡大していると指摘した。
世界ウイグル会議のアルキン副総裁は、「強制労働がこの地域における広範な抑圧と人権侵害を支える促進剤になっている」と強調した。労働者は寮生活を強いられ、移動の自由は厳しく制限されるほか、家族と自由に会うこともできない。いわゆる「家族の分断」という側面も伴う。労働移転は当初「推奨」の形で進められるが、拒否した場合には強制し、実質的な選択肢は存在しないと説明した。

登壇する佐藤曉子弁護士は「日本と理念を同じくする国々では、強制労働は最悪の形態の人権侵害だとの前提で、企業活動のなかでどのように課題をなくしていくか、取り組みが進んでいる」と述べた。
一方、日本では、サプライチェーン全体まで義務付けるという法制度がないとし、「真摯に取り組む企業が増え、きっかけ作りにはなったが、日本全体に行き渡っていない」のが現実だと指摘した。
人権デューデリジェンスの義務化と輸入禁止措置を組み合わせることが、日本企業および日本で事業を行う企業のサプライチェーンにおける強制労働リスクの低減に向け、非常に実効性がある手段になるとの認識を示した。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチの笠井哲平氏は、国家による強制労働にてついて、新疆ウイグル自治区の他に、トルクメニスタンとか北朝鮮などで行われているため、こういった地域、国も対象にするべきだと指摘した。
東京大学大学院の平野聡准教授は、中国による国内外での抑圧については、単なる内政問題としてではなく、人類普遍の価値という観点から批判と反論を行っていく必要があるとの認識を示した。

台湾国防安全研究員の侍建宇助手研究員は、「新疆の内政問題かどうかについても関心を持たない人が多いかもしれない。しかし、研究者の立場から見れば、これは内政問題ではない。単なる人権問題というよりも、人間が基本的に生きていくうえでの尊厳に関わる問題だ」と述べた。
日本ウイグル協会のアフメット会長は、「ウイグル強制労働問題は、世界中の企業が無意識にそれを助長し、あるいは加担するリスクがあることから、ウイグル人たちの問題にとどまらず、今や世界各国の問題でもあると認識している」と述べた。
「日本の希望であり、ウイグルの希望でもある高市政権のもとでこそ、日本の対策が大きく前進することを心より強く望む」と語った。
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