アメリカとイスラエルによるイランへの空爆は3日目に入った。イラン側は最高指導者ハメネイ師の死亡を確認した一方で、「アメリカとは交渉しない」との立場を示している。これに対し、中国共産党(中共)の王毅外相は、アメリカとイスラエルの行動は「受け入れられない」と批判した。イランが周辺国への報復的な空爆を強める中、情勢は不安定さを増しており、中共がイランに実質的な支援を行うのかが注目されている。
トランプ米大統領は「われわれはイラン国内の数百の目標を攻撃した。革命防衛隊の施設や防空システムを含み、9隻の艦艇と海軍施設を破壊した。すべてはわずか数分で完了した」と述べた。
トランプ氏は3月1日、英紙デイリー・メールのインタビューで、イランの軍・政府高官48人が死亡したと明らかにし、軍事行動は今後およそ4週間続く可能性があるとの見通しを示した。
イラン国営テレビは、最高指導者ハメネイ師の死去を確認した。同氏による30年以上に及ぶ強権的な統治に終止符が打たれた。
台湾国防安全研究院の鐘志東・研究員は、「今回のアメリカによる斬首作戦の目的は大きく2つある。1つはトランプ氏が述べたようにイランの核施設の破壊だが、イラン側は明確な回答をしていない。もう1つは政権交代だ。ハメネイ師をはじめ、多数の政府高官、軍指揮官が殺害された中で、イランが後継計画、いわゆるプランBを準備しているかが重要な鍵になる」と指摘した。
イランは1日、法学者アラフィ氏が暫定的に最高精神指導者を務め、ペゼシュキアン大統領、エジェイ司法府長官とともに暫定指導委員会を構成すると発表した。
トランプ氏は同日、新たなイラン指導部が米側に対話の意向を示したと明らかにしたが、イラン最高国家安全保障委員会のラリジャニ事務局長は2日、「アメリカとは交渉しない」と述べた。
台湾国防安全研究院の沈明室研究員は「実際に、今回の攻撃でイランは大きな損失を被った。ただ、アメリカと協議するとなれば、核兵器開発を放棄するかどうかといった問題を解決しなければならない。すべての核施設や濃縮ウランの廃棄が条件になる。そこが最大の変数だ」と語った。
中共の「古い友人」ハメネイ師の死去を受け、王毅外相は1日、ロシア外相と電話会談を行い、アメリカとイスラエルが指導者を公然と殺害し、政権交代をあおっていることは受け入れられないと述べた。
沈氏は「王毅や新華社は徹底した覇権政治だと批判しているが、踏み込んだ批判ではない。アメリカは国家戦略に基づき、ロシアや中共の中南米、中東、ヨーロッパにおける影響力を段階的に削減している。トランプ氏の任期は2年以上残っている。イラン問題が順調に解決すれば、次はロシア、そして中共への対応に移ることは十分可能だろう。両国はこうした事態を警戒しているが、有効な対抗手段を持ち合わせていない」と分析した。
さらに中共にとって痛手となったのは、今回の米・イスラエルによる昼間の奇襲で、イランが配備するロシア製および中国製の防空システムが機能不全に陥った点だ。中国製のYLCシリーズ対ステルスレーダーや紅旗シリーズ防空ミサイルはステルス機を探知可能だと宣伝されていたが、今回の実戦では対抗能力の弱さが露呈した。
一方、イランが中東諸国に対して「無差別」報復攻撃を展開し、周辺地域にあるヨーロッパ各国の施設や軍事基地への攻撃も続けている。英仏独3か国の首脳は1日、共同声明を発表し、イランに対し「必要な防衛行動」を取る可能性があると表明した。
情勢が揺れ動く中、中共がイランを支援するのか、どのような形で支援するのかが焦点となっている。
沈氏は「現在の戦略情勢はロシアと中共に不利だ。加えて中共自身も経済の大幅な減速や上層部の権力闘争の真っ只中にある。まもなく五中全会を控え、来年の第21回党大会に向けた準備もある。ロシアや中共がアメリカに強く対抗し、他国を取り込んでアメリカに対抗する可能性は低下しており、成功するかどうかも不透明だ」と述べた。
鐘氏は「中国(中共)はロシアと連携し、国連の枠組みを通じてアメリカの行動が国際法違反や主権侵害だと批判し、イラン支持を正当化している。しかし強調したいのは、中国(中共)にはイランを守るための具体的な行動は乏しく、事前・事後の外交的支持にとどまっていることだ。それでは不十分だ。イランがアメリカとイスラエルの斬首作戦に直面する中で、中国(中共)が具体的な行動で同盟国を守れなければ、親中諸国の信頼が連鎖的に揺らぐ可能性がある」と指摘した。
アメリカに亡命しているイラン最後の国王の子、レザー・パフラヴィ氏は1日、イラン国民に街頭での抗議を呼びかけ、「残る当局者」に対し流血なく政権を明け渡すよう訴えた。
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