ルビオ氏「蒋介石を解き放つ」発言が波紋 民進党議員が国民党に「反共せよ」

2026/03/05
更新: 2026/03/05

米ルビオ国務長官の「蒋介石を解き放つ(unleash Chiang)」という発言が、イランへの軍事行動拡大を示唆するものとして注目を集めている。これを受け、台湾民進党の鍾佳濱立法委員は、国民党に対し「蒋介石を解き放て」と呼びかけ、全力で反中国共産党(中共)に取り組むべきだと訴えた。

鍾氏は3月4日、「ライシナ対話」出席を前に、国民党に向けて「いつになったら『蒋介石を解き放つ』、全力で反共に取り組むのか」と呼びかけた。

「ライシナ対話」は2016年以降、インド・ニューデリーで毎年開催している多国間会議。防衛、貿易、多国間協力、二国間関係の強化などを主要議題としている。今年はアメリカからクリストファー・ランドー副国務長官が出席し、フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領も参加した。

鍾氏は、「蒋介石を解き放つ」という表現について、冷戦期にアメリカ側が蒋介石に共産党との戦いを認め、「大陸反攻」を容認することを主張した際のスローガンに由来すると説明した。その後、この言葉は「全力を尽くす」「軍事的圧力を強める」といった意味でも使われるようになったという。

また、米ブッシュ元大統領がテニスをする際、強いスマッシュを打つ前にこの言葉を口にすることがあったとも伝えられている。ルビオ氏が3日、議会での説明の際にこの表現を用い、アメリカがイランへの攻撃を強化する可能性を示唆したことから、この典故がインターネット上で大きな話題となった。

鍾氏は、かつての国民党は反中共陣営の最前線に立ち、アメリカが独裁陣営を封じ込める際の重要なパートナーだったと指摘した。そのため「蒋介石」という言葉は、アメリカ国務長官が非民主国家を牽制する際に用いる象徴的な表現として残り続けていると述べた。

一方で現在の国民党については、党主席の鄭麗文氏と習近平との会談実現を目指し、立法院で党を挙げて武器購入を阻止し、台湾防衛の体制づくりを妨げていると批判した。

鍾氏は「蒋介石が現在の国民党の姿を見たら、墓からよみがえるほど怒るだろうという声もある」と指摘。国民党内の若手・中堅勢力の間でも危機感が高まり、台中市長の盧秀燕氏が国民党立法委員を集めて意見交換を行ったと紹介した。盧氏は、3500億元では国防強化には不十分であり、国民党が親中のレッテルを貼られるべきではないと明言したという。

台湾行政院が提出した1兆2500億元規模の国防特別条例案は、6日に立法院本会議で委員会審査に付される予定だ。一方、独自案の提出を表明している国民党内では軍購金額を巡って意見が分かれている。党主席の鄭麗文氏は3500億台湾ドルを主張し、国民党系シンクタンク元副CEOの凌濤氏は9千億台湾ドルを提案。多くの国民党立法委員は6千億~8千億台湾ドルを支持しており、いずれも行政院案の1兆2500億台湾ドルを下回っている。

鍾氏は、武器の購入や軍備強化は拡張のためではなく自衛のためだと強調した。歴史は、国力を強化することが敵の抑止につながることを示しており、弱さを示しても平和は得られないと指摘した。中共の軍事力近代化が進む中、台湾は抑止力を高めるため、より多くの資源を投入する必要があると述べた。

なお、中東情勢の緊迫化の影響で、当初3月5日~11日に予定されていた鄭麗文氏と習近平の会談は延期され、米中首脳会談の後に開催する見通しとなった。北京の関係筋によると、中共は今年の対台湾政策の重点として「一国二制度」案の推進を掲げており、会談延期は国民党の具体的な行動、軍事装備調達を阻止する意思がどこまであるのかを見極める狙いがあるという。