現在、アメリカはイラン政権への軍事打撃に注力している。こうした状況の中、中国共産党(中共)が混乱に乗じて台湾へ侵攻する可能性を指摘する声もある。しかし、専門家はその可能性は低いとみている。中共が当面、台湾に手を出しにくい理由として、四つの要因が挙げられている。
米誌「タイム」は「イラン戦争で米軍は分散・消耗 しかし結果的に台湾を守ることもできた可能性」と題する記事の中で、第一の理由として、米軍が示した実戦能力の高さを挙げている。これが中共に軽挙妄動を思いとどまらせる可能性があるという。
衝突開始から最初の4日間で、米軍は約2千か所の目標を攻撃した。16隻の軍艦と1隻の潜水艦を撃破したほか、イランから約2千マイル離れたスリランカ沖でイランのフリゲート艦1隻を撃沈した。
米軍はイラン最高指導者ハメネイ師とその側近への斬首作戦に成功した。これは今年1月初めにベネズエラの独裁者マドゥロ氏を拘束したことに続くものだ。ほぼ半世紀にわたり大規模な戦争を経験していない中共軍とは対照的だ。
オーストラリア国立大学の台湾駐在政治学者、宋文笛氏は「中国の最初の反応は『こうしたことはここ(北京)でも起こり得る』というものになるだろう」と語った。
第二の理由は、中共製軍事装備の性能問題だ。
イラン政権は以前、中共から「非常に先進的」と宣伝されていたレーダーや防空システムを購入していたが、今回の事態では全く役に立たなかった。かつてベネズエラで中共製システムも米ステルス機を検出できなかった。中共は完全に面目を失った。
シンガポール国立大学の国際関係教授、莊嘉穎氏は「自国の装備がベネズエラとイランで相次いで機能しなかったことから、中国は教訓を得るだろう。アメリカが示した軍事力、そして極めて複雑な軍事作戦を遂行する能力に、中国側は少なからず驚いていると思う」と述べた。
第三の理由は、この戦争が中共の外交的影響力を弱めた点だ。
中共は長年、イラン政権を支持してきた。イランはアメリカの同盟国に対して強硬な行動を取り続けてきたが、中共はイランとの関係を利用して、いわゆる「平和の仲裁者」を演じてきた。
しかし今回、アメリカがイランを攻撃した際、中共は口頭での非難にとどまり、その無能さを露呈した。
ニコラス・バーンズ元アメリカ駐中国大使はXで、中共は「権威主義国家の同盟相手として信頼できない存在であることを示している」と書き込んだ。
第四の理由は、この戦争によって中共が経済的な苦杯を喫する点だ。
中国はベネズエラとイランの石油の最大の購入国である。中国が輸入する石油の約半分と、LNGの約3分の1は中東地域に依存しているが、イランはホルムズ海峡の封鎖を宣言している。
さらに、中共の対台湾計画は「アメリカの不介入」を前提としている。トランプ氏の外交政策は予測不能だが、最新版の米「国家防衛戦略」は、アメリカが台湾を含む第一列島線に沿って「強力な拒否的防衛」を構築することを明確に示している。
アジア情勢の専門家で、コンサルティング会社パーク・ストラテジーズの上級副社長を務めるショーン・キング氏は、「習近平はアメリカが台湾防衛に介入すると考えている。そのため、短期的に攻撃に踏み切ることはないだろう」と述べた。
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