政府は3月10日、訪日外国人の出入国管理を強化することを目的に、新たな電子渡航認証制度「JESTA(ジェスタ)」の創設を柱とする入管難民法改正案を閣議決定した。制度は2028年度中の導入を目指す。訪日客の急増に伴う入国審査の混雑や治安対策への懸念を背景に、渡航前の段階で外国人の審査を行う仕組みを整備することで、水際対策の強化と審査の効率化を同時に図る狙いだ。
新制度のJESTAは、米国の電子渡航認証制度「ESTA」を参考に設計された事前審査システムである。主な対象は、主な対象は、観光や短期商用などを目的とした短期滞在ビザが免除されている74の国・地域からの渡航者、出入国在留管理庁長官が指定する旅客船での入国者、および乗り継ぎのために一時入国する一部の外国人だ。これらの渡航者は日本へ出発する前にオンラインで申請し、氏名、生年月日、職業、滞在目的などの情報を提出する必要がある。
入国管理当局は申請情報を基に、犯罪歴や過去の強制退去歴などのデータと照合して審査を行い、問題がなければ事前認証を発行する仕組みである。認証を取得していない場合、航空機や船舶への搭乗は認められない。航空会社などの交通事業者には、渡航者情報を入管庁に事前共有するとともに、未認証者の搭乗を拒否する義務が課される。また申請時には、海外の同様制度を参考にした手数料が徴収される見通しである。
制度導入の背景には、インバウンド需要の急回復に伴う訪日客の急増がある。産経新聞によれば、2025年の新規入国者数は約3918万人と過去最多を記録した。。このうち約98%が観光などの短期滞在者で、さらにその約8割がビザ免除国・地域からの入国者であった。ビザなしで入国できる渡航者の急増により、主要空港では入国審査の待ち時間が長時間化するなど、現行の審査体制の限界が指摘されていた。
政府がJESTA導入によって目指す第一の目的は、水際対策の強化である。これまでビザ免除制度の下では、渡航者の詳細な審査は日本到着後に行われていたが、事前オンライン審査を導入することで、テロ関係者や不法就労・不法残留を目的とする渡航者を出発前の段階で排除できるようになると政府は説明する。いわば「搭乗前の水際」でリスクを遮断する仕組みである。
もう一つの狙いは、入国審査の効率化である。渡航前に大半の審査を終えておくことで、空港での手続きは簡素化される。政府はJESTA認証を受けた渡航者について、顔認証ゲートなど自動化された入国手続きの利用を拡大し、日本人と同様の迅速な通過を可能にする構想を示している。これにより、空港での長い待ち時間の解消につなげたい考えである。
インバウンド拡大と治安対策を両立させる仕組みとして、JESTAは今後の出入国管理の中核制度となる見通し。政府は関連法案の成立後、システム整備や運用ルールの詳細設計を進め、2028年度の本格導入を目指す方針だ。
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