イランにおける米国の成功は世界中の独裁者への警告

2026/03/22
更新: 2026/03/22

■論評

イランの最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ氏の排除は、CRINKS(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)として知られる、主に非公式のパートナーシップに亀裂を生じさせた。このパートナーシップの他の国々は、民間の支援はもちろん、軍事支援に至ってはなおさら、イランに物質的な援助を提供していない。彼らの支援は最小限にとどまり、主に国連のような場での修辞的な姿勢表明に限られている。イランに対する軍事的成功は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束やシリアのアサド政権の打倒に続いて、ほどなくして起きたものであり、世界中の独裁者に対する警鐘をますます大きく鳴らしている。もし米国に敵対すれば、安全ではいられないのである。

パートナーからの支援の欠如は、CRINKSだけでなく、イランが参加している他の二国間・多国間の権威主義体制主導のグループにとっても戦略的打撃だった。2016年、習近平は中国とイランが「包括的戦略パートナーシップ(CSP)」を結ぶことを提案した。2018年ごろには、イランは中国の「一帯一路構想に参加した。これは主として、西側の経済的「覇権」に対抗することを目的とした貿易・投資の枠組みである。

3年後、このCSPは北京とテヘランによって正式に結ばれた。その後2023年3月、中国はイランとサウジアラビア間の珍しい会談を仲介した。サウジアラビアは、米国とイスラエルと並ぶイランの三大敵対国の一つである。この動きは、中国共産党(中共)の世界的影響力と、エネルギー輸出国の間での影響力向上を示す証拠として称賛された。

そして2023年、イランは中国の上海協力機構の正式加盟国となった。これは中国共産党政権が、いつの日か民主主義諸国によるNATO同盟に対抗するものとなることを期待していた安全保障の枠組みである。しかし現在では包括的戦略パートナーシップはほとんど存在感を示しておらず、イランは一帯一路構想の加盟国であるサウジアラビアや他のアラブ諸国にミサイルを撃ち込んでいる。イランは上海協力機構に対して公然と支援を求めることすらしていない。おそらく北京はすでにテヘランに対し、支援は来ないと伝えているのだろう。そのため公の場で支援を求めれば、ただ恥をかくだけになる。そして、もし米国がベネズエラの石油輸出を統制したのと同様にイランの石油輸出を統制し始めれば、イランから攻撃を受けている一帯一路構想加盟国がそれに強く反対する可能性は低い。

現実において、この種の枠組みに参加する権威主義的指導者たちは、民主主義や人権のような理念に動機づけられているというより、主として自己中心的である。そのため、メンバーの一国が支援を必要とする状況になっても、他の国々からの反応はほとんどない。これに対して、民主主義国家で選出されるタイプの指導者は、より自己犠牲的で、チームプレーに長けている。こうした指導者は、NATO憲章に見られるような相互防衛にコミットする可能性が高い。一人は皆のために、皆は一人のために、というのは、民主主義の精神なのである。

民主主義と専制政治のもう一つの大きな違いは、ハメネイ氏が武力によって排除された後に示されたように、彼の権力掌握と在任期間が武力に依存していたため、武力による排除に対して大きな倫理的懸念が提起されなかったという点である。よく言われるように、剣によって生きる者は、剣によって滅びる。ハメネイ氏は選挙で選ばれたわけではなく、有権者の同意によって統治しているわけでもない。

彼が激しく非難してきた民主主義国家によって強制的に排除されたことは、彼をそのままにしておくよりも、むしろ民主的であるとさえ言える。米国のドナルド・トランプ大統領が述べたように、彼の排除は、イラン国民が自分たちの政府の形と、意向を反映する新しい指導部を選ぶ貴重な機会となる。

米国によるイランおよびベネズエラへの作戦は、世界の石油市場にも影響を及ぼしており、必然的に中国が割引価格で石油を購入している市場にも影響を与えている。両国は長年にわたり、西側の制裁のために人為的に安い石油を中国に販売してきた。両国で政権交代が起こり得る状況となったことで、この中国向けのおいしい供給は終わりに向かっている。中国は今後、石油輸入においてロシア、サウジアラビア、イラクへの依存をより強めざるを得なくなるだろう。割引価格で石油を販売しているのはロシアだけであり、こうした石油の唯一の供給者となれば、ロシア政府はついに中国向けの価格を引き上げることができるかもしれない。これら3国はいずれもイランよりも米国に近い関係にあるため、台湾侵攻のような事態が起きた場合、米政府が中国に対して壊滅的な石油禁輸を調整する可能性があるというリスクが、中共政府にとって高まることになる。

米国によるイランおよびベネズエラへの攻撃はまた、中国やロシアの軍事輸出品が、米国の軍事装備や戦術、すなわちキネティック(物理的打撃)とノンキネティック(サイバー攻撃や電子戦などの非物理的手段)の双方に対して、ほとんど太刀打ちできないことを示した。ベネズエラの指導者は、最も厳重に防御された場所の一つから連れ去られた。ロシア製の地対空ミサイルや中国製レーダーは、ベネズエラの指導者にほとんど役立たなかった。イランの防空体制、核兵器開発、海軍、空軍は、6月の二つの米・イスラエル作戦と、2月28日に始まった最新の作戦によって、わずか数日のうちにほとんど壊滅した。

中国の軍事輸出は、2023年のほぼ30億ドル相当の能力のピークから減少しており、2024年までに軍事輸出の10%を失った。中国の数字は不透明のため完全には比較できないものの、2023年の米国の防衛輸出は約830億ドルであった。翌年、米国の防衛輸出は約46%増加し、ほぼ1180億ドルに達した。これらの数字が示すように、国際的な購入者は中国の兵器を信頼しておらず、それが米国に対する中国共産党の世界的影響力を相対的に低下させている。

米国が多様性を持つ市場民主主義国家としてイランで軍事的な成功を収めているのは、偶然ではない。市場は共産主義体制よりも希少な資本をより適切に配分することができる。民主主義は、民主的指導者がそのために選ばれているため、国民を守ることにより優れている。そして多様性のある国は、世界で最も優秀で裕福な移民を歓迎する傾向があり、それによって国力を高めると同時に、頭脳流出と資本流出という過程を通じて、単一文化的な権威主義の敵対国を弱体化させる。

要するに、ベネズエラとイランという二つの政権の崩壊は、これら二国の独裁者だけでなく、世界中の独裁者に対する打撃である。特に、民主主義諸国と歴史的に敵対的な関係にあった独裁者にとってはなおさらだ。中国、ロシア、北朝鮮、キューバ、ミャンマー、ベトナム、ラオス、カンボジアは、最近の出来事を懸念と、場合によっては若干の衝撃とともに見守っただろう。世界中の独裁者は今や、米国およびその同盟国に逆らえば、重大なリスクを伴うことを疑いなく理解している。

 

この記事で表明されている見解は筆者個人の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではない。
 

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
時事評論家、出版社社長。イェール大学で政治学修士号(2001年)を取得し、ハーバード大学で行政学の博士号(2008年)を取得。現在はジャーナル「Journal of Political Risk」を出版するCorr Analytics Inc.で社長を務める傍ら、北米、ヨーロッパ、アジアで広範な調査活動も行う 。主な著書に『The Concentration of Power: Institutionalization, Hierarchy, and Hegemony』(2021年)や『Great Powers, Grand Strategies: the New Game in the South China Sea』(2018年)など。