ロシア・ウクライナ戦争の勃発後、トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領に対し、停戦に応じるよう説得を続けている。一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領を繰り返し批判しており、一部の欧州同盟国には困惑が広がっている。しかし、メディア「ポリティコ(Politico)」の最新分析によると、トランプ氏の狙いは単なるウクライナ問題にとどまらない。より長期的な戦略、すなわち中国共産党(中共)の影響力を削ぎ、世界秩序を中共依存から脱却させることに主眼を置いているという。
記事は、トランプ政権内部の判断として、もしロシアに戦争を停止させ、再び欧米との経済的なつながりを構築させることができれば、世界の勢力均衡が変化し、国際体系における中共の影響力を減少させることができると指摘している。この戦略は冒険的にも見えるが、米国において「ロシアではなく、中共こそが米国と西側諸国にとって最大の地政学的政治リスクである」という共通認識がますます明確になっていることを反映している。
過去15カ月間、米ロ交渉は何度も膠着状態に陥ったが、トランプ・チームは諦めていない。ある米政府当局者は、ロシアとの協力を強化すれば、中共との勢力対比を変えられる可能性があると明かした。もっとも、多くの専門家は、中ロ双方が米国を主要な敵と見なしている現状では、両者の関係を切り離すのは容易ではないとして、懐疑的な見方を示している。
それでもなお、ロシアを自陣に引き込むことは、米国のより広範な外交戦略に合致すると記事は分析する。ここ数年、米国は西半球において、ベネズエラ、キューバ、パナマ、ペルーなどの諸国に圧力をかけ、現地の浸透工作を弱めるなど、中共の影響力を封じ込めてきた。また、最近の米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃も、イランやベネズエラ、ロシアから安価に石油を輸入するという中共の戦略に打撃を与えている。
さらに、米ロ間の対話は継続中である。先週、トランプ氏の特使チームがプーチン氏の上級顧問と会談し、双方はこの会談を「実りあるものだった」と評価した。
昨年発表された米国の「国家安全保障戦略」では、中共の脅威が繰り返し名指しされており、超党派の議員も中共を米国にとって最も深刻な長期的挑戦であると認めている。トランプ政権(第1期)で国家安全保障会議(NSC)の事務局長を務めたフレッド・フライツ氏は、米国の長期戦略は中ロの連携を回避することであり、必要であれば脅威のより小さい側と戦術的に協力することだと述べている。
また、フライツ氏によれば、トランプ氏はプーチン氏に対し、戦争を終結させ、米欧との関係を回復し、G8(主要8カ国)へ復帰することさえ視野に入れるよう圧力をかけてきた。トランプ氏はウクライナ戦争の終結を模索する一方で、中ロ同盟が米国に与える脅威はウクライナ紛争よりもはるかに大きいと認識しており、米ロ関係を改善することで両国の協力を弱めようとしている。
新たに就任したルビオ国務長官も、ロシアが長期にわたって中共の属国に甘んじることは、ロシア、米国、欧州のいずれにとっても不利益であると警告した。ただし、同氏もまた、中ロ同盟を完全に打破することが容易ではないことは認めている。
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