習近平 台湾野党党首を中国訪問に招待 トランプ訪中の1か月前

2026/03/31
更新: 2026/03/31

中国共産党(中共)政府が台湾の最大野党トップを4月中旬に招待したことで、中共が台湾の民主主義につけ込み、政治の行き詰まりに乗じて内部の分断を広げようとしているのではないかとの懸念が改めて浮上している。

中国共産党の習近平党首は、台湾の国民党(中国国民党)の鄭麗文主席に対し、4月7日から12日にかけて中国大陸を訪問するよう招待した。中国国営通信の新華社が3月30日に報じた。

中国共産党との関係強化を志向する国民党は声明で、鄭主席が習近平の招待を「喜んで受け入れた」と発表した。

鄭主席の発表を受け、台湾総統府の郭雅慧報道官は記者団に対し、政府として鄭・習会談の可能性を「注視する」と述べた。台湾の中央通信社が伝えた。

国民党は小政党との連立により台湾の立法院(議会)で過半数を占めており、政府提案の可否を左右できる立場にある。頼清徳総統が中国の脅威に対抗するため打ち出した400億ドル規模の国防費増額計画は、野党連合の反対により行き詰まっており、米議会の一部議員の間で懸念が生じている。

中共政府が鄭主席の訪中を発表したタイミングは、米国の超党派上院議員団が台湾の首都・台北を訪問している時期と重なった。上院議員団は3月30日に頼総統と会談し、停滞している国防予算の可決に期待を表明した。

トランプ米大統領は5月14日と15日に訪中し、習氏と会談すると表明している。2025年10月に韓国で行われた首脳会談では台湾問題は議題に上らなかったが、習近平はその後のトランプ氏との電話会談で台湾に関する中共政府の立場を繰り返し強調してきた。

中共は台湾を統治したことがないにもかかわらず、台湾を自国の領土の一部と主張し、必要であれば武力で統一する構えを示している。

台湾の軍事力を消耗させ士気をくじくため、中国共産党軍は台湾周辺で大規模な軍事演習を繰り返し実施し、ほぼ毎日のように航空機や艦艇を台湾近海に派遣している。こうした軍事活動の激化により、世界の主要な海上輸送路である台湾海峡での戦争の可能性に対する国際的な懸念が高まっている。

(左から)台湾国家安全保障会議の呉釗燮事務総長、米国のトム・ティリス上院議員(共和党、ノースカロライナ州)、ジーン・シャヒーン上院議員(民主党、ニューハンプシャー州)が、2026年3月30日、台湾桃園市の国立中山科学技術研究院に到着した(写真:I-Hwa Cheng/AFP via Getty Images

鄭主席は3月30日の記者会見で、今回の訪問を通じて「海峡両岸は戦争が運命づけられているわけでも、対立の瀬戸際にとどまる必要もない」ことを世界に示したいと述べた。

11月の統一地方選挙で与党・民主進歩党(民進党)への挑戦に向けた準備を進める鄭主席は、訪中について、台湾独立に反対し「92年コンセンサス」を堅持するという国民党の一貫した対中姿勢に沿ったものだと説明した。92年コンセンサスとは、1992年に中国共産党と当時の与党・国民党の間で非公式に交わされた、文書化されていない了解を指し「一つの中国」の存在を認めるが、その解釈は双方に委ねるという内容である。

この曖昧な合意の承認を拒否する与党・民進党は、中台間の交流は歓迎するとしつつも、そうした関係は「対等と尊厳に基づき、政治的前提条件なしに」行われなければならないと表明した。民進党は鄭主席に対し、中国共産党の台湾弱体化を狙った「統一戦線」工作の「駒」にならないよう警告した。

民進党は声明で次のように述べている。

「中共政府が台湾や地域の他の国々に圧力をかける一方で、台湾の野党に対しても中共政府との『共通の政治的基盤』を受け入れるよう働きかけている。その目的は明白であり、台湾内部に分断を生み、国家の結束を弱めることにある」

民進党はさらに、中国による経済的・軍事的圧力が台湾海峡の安定をますます脅かしていると指摘した。

声明は「中共当局が真に台湾との対話を求め、台湾を含む地域のすべての関係者と共に地域の安全と安定を推進する意思があるならば、直ちに軍用機や艦艇による威嚇を停止し、台湾の自由と民主主義を尊重し、台湾の人々に敬意を払うべきだ。台湾を分断するために仕組まれた見せかけの行事を演出すべきではない」と続けている。