ドイツ当局は5月20日、中国共産党(中共)のためにスパイ活動を行った疑いで夫婦を逮捕した。2人は、軍事転用可能な先端技術の情報を得ようとした疑いが持たれている。
連邦検察庁によると、逮捕された2人はドイツ国籍で、南部ミュンヘンで身柄を拘束。ドイツのプライバシー保護規定により、名前は一部だけ明らかにしており、2人はXuejun C.(シュエジュン・C)とHua S.(ホア・S)とされている。
検察側は、2人が「中共の情報機関のために活動していた」としている。現在、ミュンヘンにある2人の自宅や勤務先を捜索している。
夫婦は、ドイツの大学や研究機関に所属する科学者らに、不正な手段で接触を図った疑いが持たれている。特に標的となったのは、航空宇宙工学、コンピューター科学、AI分野の教授らだった。2人は通訳や自動車業界の関係者を装い、研究者との接点を作ろうとしていた。
検察側によると、2人は中国で一般市民向けの有料講演を行うと持ちかけ、一部の科学者を中国に招こうとしていた。しかし実際に講演を聴いていたのは、軍需企業の従業員だったという。
検察官はまた、この夫婦の逮捕に加え、ミュンヘン、首都ベルリン、その他複数の場所で、別の10人に対して捜査上の措置を取っていると明らかにした。これらの人物に犯罪の疑いはないが、証人として事情を聴く対象とみられる。
今回の逮捕は、ドイツ当局が中共による安全保障上の脅威に警戒を強める中で行われた。
ドイツのメルツ首相は2月に中国を訪問し、主に貿易問題や経済分野での協力強化について協議した。一方で、技術移転への懸念から、中国への経済依存を見直す「デリスキング」を進めようとしている。
中共当局は、スパイ活動に関する疑惑を否定している。これに先立ち、情報機関を監視する議会委員会のコンスタンティン・フォン・ノッツ副委員長は、中共からの脅威が増していると警告した。
同氏は政治ニュースサイト「ポリティコ」のインタビューで、「われわれは、中国(中共)が西側、ヨーロッパ、そしてドイツに向ける敵対姿勢と攻撃性を、深刻に過小評価してきた」と述べた。
ドイツでは最近、中共に関連するスパイ事件が相次ぎ、大きく報じている。
今年2月には、米軍基地で民間請負業者として勤務していたアメリカ人が、中共に機密情報を提供したとして、ドイツ西部コブレンツの裁判所で実刑判決を言い渡した。
また昨年9月には、右翼政治家マクシミリアン・クラー氏の元中国系助手の郭建被告が、4年超の禁錮刑を言い渡された。裁判所は、郭被告がクラー氏の下で勤務していた間、中共情報機関の代理人として活動したと判断した。
検察はクラー氏本人についても捜査を進めている。クラー氏には、欧州議会議員在任中に中共とロシアから資金を受け取った疑いが持たれているが、本人はこれを否定している。
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