マスク氏 SpaceXの新規株式公開を申請 巨額IPOに向け書類提出

2026/05/21
更新: 2026/05/21

イーロン・マスク氏がSpaceXを株式公開する手続きを進めており、同社を株式市場に上場させる新規株式公開(IPO)の申請書類を提出した。

5月20日に米証券取引委員会(SEC)へ提出された書類によると、SpaceXはナスダックで「SPCX」のティッカーシンボルで取引を行う計画で、マスク氏は特別議決権株式を通じて経営権を維持する見通しだ。

SpaceXは2025年に186億ドルの収益を計上した一方、人工知能(AI)インフラへの数十億ドル規模の投資に伴い、多額の営業損失も生じていることを認めた。

マスク氏は2002年にSpaceXを創業。同社はロケットや宇宙船、衛星網の設計・製造・打ち上げ・運用を手掛け、衛星インターネットサービス「スターリンク」を運営するほか、数百回の軌道飛行ミッションを実施してきた。また近年はxAIの買収を通じてAI分野にも事業を拡大している。SpaceXは長期的
な使命として、生命を「多惑星種」にすることを掲げている。

SpaceXは、ファルコン9およびファルコン・ヘビーロケットを使用し、衛星・貨物・有人ミッションを目的として商業・国際・政府顧客に打ち上げサービスを提供していると説明した。同社は米政府の主要打ち上げ事業者と位置づけており、2025年には国家安全保障関連の打ち上げ12件中11件と、国際宇宙ステーション(ISS)向けのNASA有人・貨物ミッション全件を担当したとしている。

2026年3月31日時点で、SpaceXのファルコンロケットはこれまでに約7400メートルトンを軌道に投入し、ミッション成功率は99%超に達したと同社は発表した。また約650回の軌道飛行を完了しており、そのうち540回超で使用済みファルコン・ブースターを再利用したとしている。

SECへの提出書類でSpaceXは「真実を追求する」AIを稼働させるために「太陽を活用する」構想を示すとともに、月面基地の建設や他の惑星への都市建設も視野に入れていることを明らかにした。

「現在の宇宙開発への取り組みが変革的な技術革新の触媒となり、地上産業を再編するとともに、月・火星・そしてそれ以遠に新たな兆ドル規模の市場が生まれると確信している」と同書類には記されている。

書類はまた、AIが多額のコスト要因であると同時に成長事業機会でもあることを示している。AI部門は2025年に32億ドルの収益を上げた一方、データセンター・コンピューティングインフラ・生成AIプラットフォーム「Grok」の開発拡張に伴い、63億ドルの営業損失を計上した。

SpaceXは今後もAIへの大規模投資を継続する方針を示しており、大規模コンピューティングシステムや衛星を電源とする将来の軌道上AIデータセンターも含まれるとしている。

書類はAIを、スターリンクネットワーク・xAIの事業運営・マスク氏が買収したSNS「X」と連携した長期的な成長エンジンと位置づけている。

SpaceXはスターシップロケットシステムを活用して新産業を創出し、地球圏外での経済活動を拡大する計画を示した。月・火星への旅客・貨物輸送を通じ、恒久的な人類居住地の確立に貢献することを目指すとしている。

同社は将来の事業機会として、地球上の都市間を結ぶ超高速輸送、宇宙観光、微小重力環境を利用した軌道上製造施設なども挙げている。

また書類は、月・火星での居住施設・製造拠点・将来のインフラを動かすための大規模太陽光発電の開発を将来的に目指すとしている。SpaceXは大量の貨物を宇宙に打ち上げる能力を、まったく新しい商業市場の創出と長期的な成長機会の基盤と位置づけている。