中国人観光客の訪日が急減 日本の事業者が他国客の開拓に奔走

2026/06/17
更新: 2026/06/17

昨年11月、高市早苗首相は「台湾有事は日本有事。日本は傍観できない」と発言した。この発言が中国共産党(中共)を激怒させ、中共は相次いで「中国国民は日本への渡航を控えるよう」との渡航警告を発出。大量の中国人が訪日を取り消した。それから6か月以上が経過した現在も、両国関係は一向に緩和の兆しを見せていない。

中国人観光客が激減、事業者に打撃

割を食ったのは小売・観光業界だ。過去十数年にわたり、中国人観光客は日本に押し寄せ、高級家電・化粧品・その他ブランド品を買いあさってきた。その消費に支えられて潤っていた店も少なくない。

とりわけLaox グローバルリテーリングが日本各地で展開する高級時計・貴金属・宝飾品の店舗では、中国人観光客による消費がかつて売上高の90%を占めていた。Laox Global Retailingは株式の30%を中国蘇寧易(Suning.com)が保有している。

日中関係悪化後、その比率は現在30%未満にまで低下している。

同社の金岳宇社長は日本経済新聞に対し「こうした状況のもとでは、商品構成の『脱中国化』調整を進めざるを得ない。顧客層と商品ラインを抜本的に見直す絶好の機会だ」と語った。同社は今年5月、東京・銀座に新店舗を開業し、時計や金などの高級品に特化することで、より多様な国の顧客の取り込みを図っている。

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、今年4月単月の中国人訪日客数は前年同期比56.8%減の33万700人にとどまった。観光庁のデータでは、1月から3月の中国人観光客の日本国内消費総額は2715億円(約17億ドル)で、前年同期比50.4%減となった。中国人観光客の消費が訪日外国人全体に占める割合も、2025年同期の24%から11.6%に低下した。

円安が後押し、訪日外国人全体では底打ちの動き

円安を追い風に、訪日外国人全体の数は回復基調にある。日本政府観光局によると、4月の訪日客総数は360万人で前年同期比5.5%減となったが、今年1月以降で最多となった。同月、韓国・台湾・ベトナムからの訪日客数はいずれも月次過去最高を更新。フランスからの訪日客も単月最多を記録した。

三井住友トラスト・リサーチ&コンサルティングの岩田咲研究員は「以前から、日本の観光業が他国からの集客に力を入れる必要性は、以前から指摘されていた。2024年時点でも、中国人観光客の消費額はコロナ禍前の水準には回復しておらず、爆買い傾向も弱まっていた。多角化に取り組んだ事業者もある一方、中国人客に大きく依存したままでいた企業が最も大きな打撃を受けている」と分析した。

大阪の老舗日本刀具小売店「實光刃物」は「顧客の80%は外国人だが、中国人観光客が減った分、他の多くの国からの客足があり、全体として客数に減少感はない」と明かした。

大阪の電器店「エディオン心斎橋東」も、中国人観光客の大幅減少を認めながらも「トルコ・フランス・メキシコ・インドからの顧客が著しく増えた」と述べた。

報道によると、中国人客を主要顧客とする華人系企業の打撃が最も大きい。旅行会社「ACT Travel」は、中共の訪日警告が出る以前、インバウンド顧客の70%が中国大陸からだったが、昨年12月は新規予約がゼロになり、既存の全予約もキャンセルされた。同社は現在、ベトナム人観光客向けサービスへの転換を余儀なくされている。

大手ホテルチェーン東急リゾーツ&ステイも積極的な海外市場開拓に乗り出しており、今年3月にはグローバル・ホテル・アライアンス(GHA)への加盟を発表した。同社広報担当者は「GHA加盟により、より幅広くバランスの取れた顧客基盤の拡大が可能になる」と説明した。

日本の企業・事業者が中国人観光客減少の影響への適応を進める中、イラン戦争による航空燃料価格の高騰と国際旅行コストの上昇が新たな逆風となっている。

岩田研究員は、「域内の航空運賃が比較的安価だったことで、多くの東南アジア諸国からの観光客が初めて訪日する機会を得ていた。航空券代が上がり続ければ、そうした人々が訪日を断念し、将来的なリピーター数の減少につながるおそれがある」と警告した。

李平