サッカーの試合開始前、スタンドでは多くの観客がマフラーを掲げ、チームソングを合唱する光景が見られる。スタジアム全体がチームカラーに包まれるこの光景は各地で共通している。気温の高い時期であっても、マフラーを身につける観客は少なくない。こうした習慣の背景には、100年以上にわたる歴史がある。
サッカーマフラーの起源は20世紀初頭のイギリスにさかのぼる。当時、寒冷な気候の中で観戦する人々が、防寒のためにチームカラーのウール製マフラーを着用し始めた。その後、マフラーは防寒具としての役割にとどまらず、チームへの帰属意識や支持を示す象徴へと変化していった。
現在では、各国のスタジアムでマフラーは応援の象徴として定着している。プレミアリーグやラ・リーガ、ワールドカップなどの試合では、観客がマフラーを掲げる行為が、団結や支持を示す行動として広く見られる。

サッカーマフラーはかつて「おばあちゃんのマフラー」と呼ばれていた
イギリスでは19世紀末から、観戦時にチームの紋章入りのリボンや帽子、ブローチ、木製の鳴り物などを応援グッズとして用いていた。1934年、イングランドFAカップの地方で行った試合において、観客がマフラーを着用している様子が初めてメディアに記録された。
1930年代初頭のマフラーは主にチームカラーで作っていたが、多くは公式グッズではなく、防寒目的で使用していた。
イングランドサッカー協会は1871年に初の全国大会を開催した。この大会は世界最古のサッカー大会とされ、12チームが参加し、初戦は1871年11月、決勝は翌年3月に行われた。
当時の試合は冬季に実施することが多く、観客は長時間スタンドに立って観戦するのが一般的であった。このため、防寒のためのウール製マフラーを広く用いるようになった。
初期のサッカーマフラーは多くが手編みで作られており、親しみを込めて「おばあちゃんのマフラー(granny scarves)」と呼ばれていた。

20世紀に入りサッカーが世界的に普及すると、チームロゴ入りのマフラーも各地に広がった。クラブはマフラーを公式グッズとして販売するようになり、メキシコシティやリオデジャネイロなどの温暖な地域でも、観戦時に購入する人を見るようになった。
スタジアムにおいて、マフラーは視認性が高く、持ち運びやすいことから、チームを識別する手段としても機能している。また、旗と比べて軽量で扱いやすい点も特徴である。
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