F-22ラプターが嘉手納基地に再展開 米軍が統合作戦能力を検証

2026/08/07
更新: 2026/08/07

米空軍が太平洋における航空優勢の再構築を進めている。F-22が第一列島線最前線の日本・嘉手納基地に再び姿を見せた。米軍はF-22、F-35、F-15EXを組み合わせた新たな統合作戦モデルの構築を進めており、太平洋地域で不測の衝突が発生した場合、いち早く制空権を奪取する狙いがある。

F-22、嘉手納基地に再展開

2026年8月3日、米空軍第27および第90遠征戦闘飛行隊所属のF-22「ラプター」戦闘機が沖縄・嘉手納基地に飛来し、第18航空団主催の即応演習「ビバリー・ビーチ26-1」に参加した。同演習は、第5世代戦闘機が高強度紛争環境下でいかに作戦を遂行するかを検証するとともに、「機敏な戦闘運用(ACE:Agile Combat Employment)」の概念を組み合わせ、部隊の継続作戦能力と迅速な分散展開能力を高めることを主眼としている。

演習は、第18航空団が「機敏な展開の原則」を用いていかに迅速に航空優勢を確立できるかを評価するもので、対抗的環境下での作戦に必要な速度・調整力・柔軟性の強化を目的とする。演習では航空作戦要員が統合飛行訓練を実施し、任務即応態勢の強化と、太平洋地域での不測事態への対応能力向上を目指した。

米空軍第27遠征戦闘飛行隊の作戦部長トルフィ氏は「我々は即応態勢の向上に向け、多くの現地飛行訓練を実施している」と述べ、「こうした演習によって実戦に近い条件下での訓練が可能となり、嘉手納、そして同盟国・パートナーを守る備えを常に整えることができる」と語った。

嘉手納基地の常連となったF-22

嘉手納基地は太平洋の安定の要とされ、台湾からわずか約700キロの距離に位置し、その地理的条件は米軍の西太平洋における戦力投射にとって代替不可能な戦略的価値を持つ。米空軍は長年、同基地に常駐するF-15C/D「イーグル」戦闘機により航空優勢を維持してきた。

しかし、これら旧式機の退役が進むにつれ、国防総省は戦闘機部隊のローテーション配備を強化してきた。2022年以降、F-22は嘉手納基地への訪問常連機となっている。F-22の頻繁な展開の狙いは、米軍最新鋭戦闘機の西太平洋戦略最前線における長期的プレゼンスを確保し、F-15EX「イーグルII」戦闘機の嘉手納配備に向けた地ならしを行うことにある。

嘉手納基地へのF-22ローテーション配備の歴史は、大きく三段階に分けられる。2007年2月、米空軍が初めてF-22を海外展開させたのが嘉手納基地であり、バージニア州ラングレー基地所属の第27戦闘飛行隊が実施した。以後2014年まで、米太平洋空軍(PACAF)は複数の基地から定期的にF-22を沖縄に展開させ、日本・韓国・東南アジアとの合同演習に参加した。2014年以降は、F-35Aがローテーション展開任務を担うようになった。

2022年、米国は嘉手納基地に配備していたF-15C/D48機の撤収を発表し、F-15EX「イーグルII」による後継配備を計画した。しかしF-15EXの生産が12ヶ月遅延したため、常態的配備の完了は早くても2027年になる見通しとなった。F-15EX配備までの空白期間を埋めるため、戦闘機の「ローテーション配備」方式が採用され、この間F-22、F-35A、F-15E、F-16など複数機種が嘉手納への配備に参加し、基地の完全な作戦能力を維持してきた。

2026年5月、米空軍は、アラスカ州エルメンドルフ・リチャードソン統合基地所属の第90戦闘飛行隊と、バージニア州ラングレー・ユースティス統合基地所属の第27戦闘飛行隊のF-22「ラプター」戦闘機を嘉手納基地にローテーション展開させ、インド太平洋地域における作戦および合同訓練を支援すると発表した。

一連の戦闘機ローテーションの中でも、F-22の展開は特に注目される。F-22は現在も世界最強の制空戦闘機とされ、その地位に並ぶ機体は存在しないためだ。F-22の海外への定期ローテーション展開は嘉手納基地に限られており、米中央軍がF-22を欧州へ臨時展開させた例はあるものの、嘉手納でのローテーションとは性質が異なる。この事実は、米国が嘉手納基地の重要性を高く評価していることを反映している。

統合作戦モデルの実験場となる嘉手納

嘉手納基地は、台湾海峡に最も近く、かつ最も充実した戦力を有する米空軍基地の一つであり、第一列島線における航空作戦の要衝でもある。台湾海峡で衝突が発生した場合、米軍の制空、迎撃、早期警戒、空中給油、長距離攻撃といったほぼ全ての任務が嘉手納基地を中心に展開されることになる。

このため米軍は近年、基地防衛の強化と後方支援の強靭化を進め、機敏な展開作戦の概念を導入し、基地がミサイル攻撃を受けるリスクの低減を図っている。同時に、同基地が常に最強の航空優勢戦力を維持し、西太平洋地域における信頼性ある抑止力を保つことを目指している。

将来的に嘉手納に常駐する航空戦力の主力となるのはF-15EXとみられる。F-15EXは第4世代戦闘機でありステルス性能は備えていないものの、最高の飛行性能と最大級の攻撃能力を有する。最大速度はマッハ2.5に達し、現役戦闘機の中で最速とされる。また対空・対地攻撃兵装を約3万ポンド搭載可能で、世界でも最大級の兵装搭載能力を持つ機体の一つである。先進的なアビオニクス、オープン・ミッション・アーキテクチャ、大型レーダーを組み合わせ、遠距離から空中・地上目標を攻撃できる。

近年、米空軍が提唱する「第4世代プラス第5世代」の空戦構想は、両世代の役割分担を基礎に据えている。米軍は、F-22、F-35といった第5世代戦闘機に「ドアを開ける者(前衛)」の役割を担わせ、前方浸透と情報収集を通じて戦場全体の状況を把握させる一方、データリンクを通じて目標情報をF-15EXやF-16Vなど第4世代戦闘機に伝達し、これらの機体が持つ卓越した飛行性能と大量の兵装搭載能力を活かして遠距離攻撃を行うことで、統合的な作戦優勢を形成することを目指している。

ミッチェル航空宇宙研究所の研究員ベナブル氏は、第5世代戦闘機には代替が利かないと指摘する。同氏によれば、第5世代戦闘機は情報収集、演算能力、情報共有、作戦運用を統合した完結型の作戦システムであり、これは世界のいかなる他の戦闘機も実現できないものだという。同氏はまた、第4世代戦闘機は大量の弾薬を搭載できるが、勝敗を左右するのは第5世代戦闘機が遠距離から戦場態勢を把握する能力だとの見方を示した。

F-22の嘉手納への頻繁な展開は、米軍の将来的な航空戦思想の変化を反映している。制空権はもはや単一機種の性能競争ではなく、センサー、データリンク、人工知能、指揮統制、複数機種による統合作戦能力を包括的に統合したものとなっている。継続的なローテーション配備を通じて、米空軍は戦闘飛行隊に西太平洋の気候、地理、電磁環境に習熟する訓練機会を提供し、体系的な統合作戦モデルへの移行を後押ししている。嘉手納基地はこの新たな作戦体系の実験場であり、中国共産党軍の空軍力に対応する米軍の最前線でもある。

近年、中国共産党軍は殲-20戦闘機の機数を増やし続けるとともに、早期警戒、空中給油、長距離攻撃の各能力を強化し、米軍を第一列島線の外側へ排除することを目指している。これに対し米軍は統合作戦と機敏な展開の体制で応じ、嘉手納、三沢、岩国、さらにはフィリピン北部といった前方基地を結び付けて完全な制空ネットワークを構築し、地域の同盟国と連携しながら、国境を越えた多基地・分散配備型の防空アーキテクチャの構築を進めている。

米国と日本をはじめとする地域の同盟国は、中国共産党との潜在的衝突に対応するための統合作戦モデルの構築に取り組んでいる。米軍は最精鋭の戦闘機部隊を潜在的な交戦地域に最も近い基地に配備することで、明確な抑止のシグナルを対外的に発している。これは、米空軍の前方展開が、機体性能の優位性から体系全体としての統合作戦優勢へと変貌を遂げつつあることを意味している。

(責任編集:孫芸)

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