高市首相 メガソーラー規制強化を表明 地上設置型への新規支援廃止 国産技術へ転換へ

2026/08/12
更新: 2026/08/12

高市早苗首相は8月11日、自身のX(旧Twitter)で、環境や地域の安全を脅かす一部の不適切な大規模太陽光発電(メガソーラー)事業に対する規制強化策の進捗を報告した。地上設置型の事業用太陽光への新規支援を2027年度以降廃止する一方、国産の次世代技術であるペロブスカイト太陽電池の開発と社会実装を推進する方針である。

全国の市町村の約4割でトラブル

太陽光発電は、2012年の固定価格買い取り制度(FIT)開始以降に急拡大し、国内発電量の約1割を担う重要な電源となった。一方、一部の事業では、防災工事や排水対策の不備による泥水や土砂の流出、地滑り、柵塀や連絡先標識の未設置などが相次ぎ、地域社会との摩擦を生んできた。

令和6年3月に結果が公表された総務省の調査によると、全国の市町村の約4割で太陽光発電に起因するトラブルが発生し、2割弱では未解決の状態が続いていた。

法的な指導・処分権限を経済産業省や地方経済産業局が持つ一方、住民からの苦情や相談には身近な市町村が対応しており、権限と実務の乖離も課題となっていた。経済産業省が提供する認定設備情報や情報提供フォームを「知らない」と回答した市町村は6割を超え、国と自治体の連携不足も浮き彫りとなった。

問題が長期化しているにもかかわらず、地方経済産業局による発電事業者への文書指導にもばらつきがあり、迅速な是正につながっていない事例があった。

森林法改正で罰則と公表制度

こうした懸念を受け、高市内閣は昨年12月「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を策定した。不適切な事業の可視化と抑止を図り、地域との共生に向けた法規制の整備を進めている。

令和8年4月施行予定の改正森林法では、林地開発許可制度の規律を強化する。許可条件に違反した事業者に対し、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金を科す規定を新設するほか、知事による中止・復旧命令に従わない事業者の氏名などを公表できる制度を導入する。

40ヘクタール以上の大規模開発では、対象となる森林のうち、おおむね60%以上を既存の森林として残し、太陽光パネルを設置するために伐採・造成する区域は、1か所当たりおおむね20ヘクタール以下としている。複数設ける場合は、区域の間に森林を残して分散配置する。

営農型太陽光の許可要件も厳格化

農地を利用する営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングについても適正化を進める。

ソーラーシェアリングとは、農地に支柱を立てて上部に太陽光パネルを設置し、その下部の農地で農業(作物の栽培)を継続しながら、同時に発電も行うといったもので、地域と共生する「望ましい営農型太陽光発電」を実現するものとして、政府も補助金を設け、推進してきた。

しかし日照不足による作物の生育不良など、事業の24%でパネル下の営農に支障が生じたり、売電のみを目的として実質的な農業が行われていない「形骸化」などが起きている実態があった。農林水産省は農地の一時転用手続きを厳格化する方針だ。

許可要件に農山漁村再生可能エネルギー法の認定を加え、地域共生の視点を組み込む。再許可時には、パネル下で栽培する作物について年間50万円以上の生産・販売実績を求めるほか、望ましい取り組みとして、発電設備による遮光率を30%未満に抑え、設備の地上高を概ね3メートル以上確保することなどを求める。

監査対象となる事業規模は従来の4ヘクタール以上から2ヘクタール以上へ引き下げ、人工衛星データも活用して不適切な事案を監視する。

構造安全性とサイバー対策を義務化

その他、強風による太陽光パネルの飛散などを防ぐため、今年7月に成立した改正電気事業法も適用する。10キロワット以上の全ての太陽電池設備を対象に、土木・建築の専門性を持つ第三者機関が事前に構造安全性を確認する仕組みを導入する。

送配電網に接続する機器には、一定のセキュリティ基準を示す「JC-STAR」(サイバーセキュリティ基準への適合を証明するラベリング)を取得した機器の利用を義務化し、サイバーセキュリティ対策も強化する。

地上設置型の新規支援を廃止

高市内閣は2027年度以降、地上設置型の事業用太陽光について、FITおよびFIP制度による新規支援を廃止する方針だ。今後は、屋根設置型など、地域との共生が図られた形態に支援を重点化する。

関係省庁が連携する「全省庁横断再エネ事業監視体制」では、法令違反事案を調査する「再エネGメン」の対象をFIT、FIP制度の対象外となる事業にも拡大する。

非FIT/非FIP事業者はそもそも交付金を受け取っていないためペナルティが通用せず、違法な森林伐採や安全不備などを行っても監視をすり抜ける事が問題視されていた。

令和8年度から、太陽光発電全体において関係法令が確実に遵守される監視体制を本格的に始動させる。

一方、今後のエネルギー安全保障を支える国産技術として、国内に豊富に存在するヨウ素を原料とするペロブスカイト太陽電池の開発を推進する。令和8年度から、公共施設などへの社会実装に対する国庫補助や新たな地方財政措置を講じ、支援を強化する方針だ。