ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)モバイルは23日、ソフトバンクユーザー同士なら原則として通話料とメール代を無料とする携帯電話の新料金プランを導入すると発表した。26日から店頭で受付を開始する。月額基本料金は9600円と、同社のユーザーが最も利用している4000円前後より高いが、条件付きながら業界で初めて「かけ放題」を持ち込むことで、24日に始まる携帯電話の番号継続性(MNP)を機に競合2社から加入者を獲得する考え。
同プランへの加入は、10月1日に同社が開始した端末の割賦購入を利用するのが前提。1月15日までに加入すれば月額基本料金は2880円に割り引かれる。契約から2カ月間は基本料とパケット通信代が無料となる。ただし回線が混雑する午後9時から11時59分までは、無料通話は月200分に制限される。
さらに同社は、NTTドコモ(9437.T: 株価, ニュース, レポート)とKDDI(9433.T: 株価, ニュース, レポート)の割引料金をすべて引き継いだうえで、さらに210円(税込み)を割り引くというプランも発表した。競合2社が対抗して値下げをしてきた場合、24時間以内に再値下げを行う。家族割引などを継続できない点は、ユーザーがMNPを利用する際の障害の1つとなっていた。
既存のソフトバンクユーザーは現状のプランを継続することもできるが、その場合は「かけ放題」などの追加特典はない。ただし、機種変更の際に今回導入した低価格プランに移行することは可能だ。
会見した孫正義社長は「ドコモやau(KDDI)はもうけすぎ。先進国のなかで一番高いと言われている日本の携帯電話市場をゼロからリセットしたい」と述べた。同社の有利子負債はボーダフォン買収で2兆円程度にふくらんでいるが、孫社長は新料金を導入する財務的裏づけについて「十分に計算した。1人あたりの利益は下がるだろうが、(負債の)元本と金利を払える範囲でやる」と語った。新料金プランの導入による加入者増の見通しについては、明らかにしなかった。
マッコリー証券のシニアアナリスト、ネイサン・ラムラー氏は「これが料金戦争になれば、業界にとってネガティブだが、おそらく他社はすぐには対抗の動きはとらないだろう。MNPによる顧客の動きに不透明な部分が多い」と分析する。
KDDIの小野寺正社長は10月20日に行った2006年9月中間決算会見で「こちらから料金競争を仕掛けることはないが、他社がやってきたら考える」と述べている。
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